『なかよし』1977年6月号付録「なかよしまんが新聞・キャンディ百科大特集号」ではキャンディの生年を1898年と記載してありますが、第一次世界大戦を基準に作中描写から判断すると以下のように1899年生まれとするのが妥当です。
※ キャンディがラガン家奉公時代に13歳の誕生日を迎えているために、まんが新聞記載の年表「キャンディのりれき書」では、この期間に年を跨いだという勘違いに基づく記述があり、このせいで編集者がキャンディの生年を間違えたと推測されます。
コーンウェル兄弟とアンソニーの生まれ年
1975年8月号(メキシコ行きの頃)の登場人物紹介では
連載時、メキシコ送りの展開(1912年秋バラの咲く頃)の号につけられた人物紹介では上記の通りですが、
作中1914年5月、キャンディ15歳の年にアメリカに帰国した際、ステアが4歳年長とすると、19歳になってもまだ聖ポール学院在学中になってしまいます。この時点で18歳というのが設定上ギリギリ、つまりステアは1895年~97年生まれということになります。
※ 英国の学校は9月新学期制だが、70年代くらいまでの年少向け漫画では読者の混乱を避けるために日本と同じ4月始まりに設定してある場合も多い。本作ではアードレー一族周辺人物はアンソニーの死後、晩秋から冬にかけて中途編入しており、進級試験の描写もないので、何月始まりの設定になっているのかはわからない。
1977年6月号付録「まんが新聞」記載の生年月日では
※ 実際に印刷された付録ではステアとアーチーの誕生日が入れ替わっている(原作者・水木杏子が公式サイトで編集段階でのミスと表明)。
ここで問題になるのはステアとアーチーの生まれ年。
一歳違いということで、まんが新聞にはステア1897年、アーチー1898年生まれと書いてありますが、誕生日から計算するとアーチーはステア誕生から227日後に生まれたことになります。これは流石に早産すぎる。 それどころか、まんが新聞のデータに従うと、1912年9月30日時点のステア、アーチー、アンソニー、キャンディの年齢は全員14歳になってしまいます(恐らく原作者から誕生日のデータとキャラクターの年齢差だけを聞いた編集者が雑に作成したと思われます)。 生まれ年と年齢差、13歳のキャンディとレイクウッドで過ごした時期(1912年4月~9月)の年齢を考え合わせると、 アンソニーは1897年9月生まれで1912年春にキャンディと出会った時点で14歳、同年生まれのアーチーも14歳だが作中5月末に15歳の誕生日をむかえ、ステアは弟より約一年半早い1895年10月生まれでレイクウッド編の範囲では16歳……というのが妥当な解釈になります(作中で誕生日を祝う描写がないので、アンソニーは15歳になる直前の9月中旬に死亡したのでしょう)。 ステアが自動車を運転できる年齢であること、アーチーの方がアンソニーよりやや年長に描写されていること等の作中描写とも整合性がとれますし。 まとめると以下のようになります
この生まれ年で計算すると、ステアは聖ポール学園最終学年でロンドンの大学進学が半ば決まっていた時期に政情が不穏になりアメリカ帰国、アメリカでの進学先を検討中に大戦勃発、19歳の誕生日を迎えて「大人の男としての責任」を強く意識し、志願兵に……という流れが見えてきます。
ステアの戦死は1915年の秋ですが、10月に20歳の誕生日を迎える直前に亡くなったと解釈する方が「純粋な少年が大人の世界の壁にぶつかって、その純粋さゆえに砕け散った」という意味合いのドラマとして相応しく感じます。 テリィとスザナの生まれ年
まんが新聞ではテリュース・G・グランチェスターの生年月日を 1897年1月28日と記載していますが、
原作者・水木杏子が公認サイト掲示板で2005年にファンからの質問に答えた発言によると、「スザナの年齢ですが、キャンディよりは年上、テリィよりは年下、と思っていてくださいね。」ということなので、スザナ・マーロウの生年は1897~98年と推定できますが、いくら有望新人でも16歳でシェイクスピア劇の主演は難しいので、97年生まれで片足切断事故は17歳の冬というのが妥当でしょう。 アルバートとローズマリーの年齢
キャンディは6歳の秋にポニーの丘でアンソニーと瓜二つの「王子さま」に出会っています。
また、アンソニー自身も幼い頃、母の側に自分と良く似た少年を見かけています。
これらの情報から整合性のあるタイムラインを割り出すと
1889年、スコットランド移民の事業家ウィリアム・C・アードレーに長男ウィリアム・アルバート生まれる。ほどなくして妻プリシラ死亡。
ウィリアム・Aが6歳前後の頃に姉ローズマリーが船員のブラウン氏と大恋愛の末、親族の反対を押し切って駆け落ち婚。 1897年、ローズマリーは9月に男児アンソニーを出産するが体調を崩す。 同年、ウィリアム・Cが急逝し、8歳のウィリアム・Aが相続人となる。事業への影響を考慮してウィリアム・Cの葬儀は内々で済まされる。葬儀に参列するために乳飲み子と共に実家に戻ったローズマリーは静養と我が子の養育、幼い弟の後見などを理由に伯母たちに引き留められる。 1902年、幼いアンソニーを残してバラの散る季節にローズマリー死去。 両親と姉を亡くしたウィリアム・Aはロンドンの全寮制学校に入学。 1905年秋、アードレー一族の会合に参加する為にレイクウッドに戻ったウィリアム・Aは、正式に親族の前でお披露目されるのを期待してキルトで正装したが、伯母のエルロイから強く咎められて勝手に自動車に乗り別荘を飛び出す。丘の上でソバカスの少女と出会う。 1911年、ウィリアム・Aはロンドンの大学を卒業し、正式に事業を継ぐ前に見聞を広める遊学という名目で世界中を旅してまわる。 1912年5月、たまたま里帰りしていた際に川でおぼれているソバカスの少女を助ける。
……という具合に、1889年生まれで16歳の時にキャンディと出会ったと仮定すると諸々のおさまりが良くなります(『なかよし』の登場人物紹介ページでアンソニーの年齢が16歳と書かれていたということは、初期設定のアンソニーも、瓜二つの王子様も16歳を想定していたと考えるのが妥当)。
イギリスの大学は三年制で、名門子弟が卒業後に諸国遊学(グランド・ツアー)をするのはよくあるパターンです。 グランチェスター公爵とエレノア・ベーカー
以上から推測すると、
1895年頃、進取の気性に富む若き日のグランチェスター氏は、大学卒業後のアメリカ遊学で飛行機開発の夢に触れたり、才智にあふれた新進女優エレノアと出会って恋に落ちたりした。
偏狭な英国貴族社会への反発もあり、エレノアと米国式の手続きで結婚。息子のテリュースも生まれて四年ほどの間は幸せな日々を過ごすが、父親が死んで爵位を継ぐことになり、親族一同から「あんな女との結婚は無効だ」「帰国して名門貴族の女性と結婚しろ」と責め立てられて日和る。(公爵家に何か問題があり、現夫人とどうしても結婚しなければならない理由があったのかもしれない) エレノアとは離婚し、テリィも米国に残して帰国。その後、現正妻との間に長男が生まれた頃、親族間で「あのアメリカ女が息子の相続権を盾にゴネるかもしれない」と問題になり、テリィだけ引き取る。 正式に跡継ぎとして立てられてはいないが、庶子として明確に扱いが区別されているわけでもなく、世間的には「公爵家の何番目かの息子」と曖昧なあつかいのままテリィは思春期になりグレる。
……という感じでしょうか。愛する男の社会的立場のために身を引いた経験のあるエレノアがキャンディに肩入れするのも納得できます。
尚、ライト兄弟が世界初の有人飛行に成功したのは1903年で、その頃グランチェスター公爵は30歳にはなっているはずなので、「親父の若い頃の趣味」として倉庫で誇りをかぶった複葉機が登場するのは明らかな時代考証ミス。 しかし物語上の意味付けとしては
父のような愛し方はしない、と心に決めていながら結局は「男の社会的責任」からスザナを選び、真に愛するキャンディと別れるという皮肉な結果に終わったテリィですが、一方で公爵家と縁を切り俳優として芸一本で身を立てる道を貫いた点では、父の轍を踏まずに新しい生き方をすることができた訳です。
以上、あくまで公開されているデータから辻褄合わせをするとこういうタイムラインになりますよ、という推測であり、公式設定がこうだと主張している訳ではありませんので、その点はご留意ください。
参考:『キャンディ・キャンディ』の設定やキャラクターに関する原作者発言を含む記事
2010年11月『小説キャンディ・キャンディFINAL STORY』刊行後、 "公認ファンサイト妖精村"の掲示板に著者の名木田恵子が投稿した、ファンの質問に対する回答(投稿日:2010年12月 1日(水)23時47分37秒)。クリックで回答が表示されます。
1.今や小説の出版を終えられたわけですが、キャンディが登場するか、または登場することがないとしても続編を書く御計画がありますでしょうか?
FINAL・・。これで登場人物たちともお別れ、という意識で書きました。
続編を書くことはありません。 けれど、FINALは新たな始まりでもあると思っています。 今回書き上げたことにより、さらに身近になった物語世界の<永遠の土地 、空、風、花々、建物 >をもとにしたスピンオフを書けたらと(出来るまでは予定にすぎませんが)思っています。 ある詩人がいわれたように<風景は時間>です。 新しい時代、新しい主人公を同じ舞台で・・もともとそちらを書く予定でした。
2.キャンディを再び画面上に登場させるために別の漫画家やアニメ制作会社とご協力されるお考えはありますでしょうか?
わたし自身にはそういった意思はありません。
けれど、考えもしていなかったFINALを書いたように今後出会う人たち、その人たちが信用できるか否か、企画によってはどうなるかはわかりません。 先のことはわからない・・それが人生の楽しみね!
3.最初に書いた時から、先生のキャンディの物語に関する感情が変わったということはありますか?
物語世界としては、全くありません。
4.なぜ、改訂版では曖昧な結末を描くことをお決めになられたのでしょうか?今後私たちがいつの日か「あのひと」が誰であるか知ることはあるのでしょうか?
曖昧にした理由はいくつもありますが、その一つは、あのひとに至るまでのdetailを書かなかったからです。それを書けば続編になってしまいます。
わたしは裁判上では原著作者で続編も自由に書くことはできますが、なんといっても原点は漫画です。 漫画のために描いた物語なのです。 (はじめから小説として書いていたなら、書いていたでしょう。) そして、漫画として評価されなければ、現在もありません。 そういった意味で<曖昧>な結論が精一杯の<その後>です。 あのひとがだれか、ということより、キャンディスが<さまざまな苦難を乗り越え(そうなのよ!)、いちばん<愛しているひと>と穏やかでしあわせに暮らしている>ことを最後にお話ししておきたかったのです。
5.改訂版に関わる先生のお仕事について個人的なインタビューを受けていただけることを考慮願えませんでしょうか?
すべてにお答えはできないと思いますが、可能です。
『小説キャンディ・キャンディFINAL STORY』は「続編」ではありません。キャンディのFinal版のこと 投稿者:名木田恵子 投稿日:2010年10月14日(木)
刊行当時の事情を記すと、そもそも祥伝社は復刊ドットコムから出た『小説キャンディ・キャンディ』の文庫化を口実に名木田氏に近づいて来た。
参照: 復刊ドットコム版『小説キャンディ・キャンディ』 刊行の経緯 それがいつの間にか企画が変わり、リライト版ハードカバー上下巻となった(「安価にお手元に」どころか復刊版より高い!)。 ところが出版直前に祥伝社公式サイトで公開された宣伝用フラッシュムービーや、書店サイトや紙媒体の広告に記載された文言では、オマケ要素に過ぎない後日談部分を全面的にアピール。現物を手にしてみたら、本のオビにも続編誤認を誘うコピー。 これじゃ読者が「キャンディの続編」と誤解しても不思議じゃない。 出版社側が最大限にウリと見積もった要素を推すのは当然といえば当然ではあるが、アンフェアだよな。
ファイナル執筆にとりかかる前、祥伝社側は名木田氏の「小説としてキャンディの作品世界を静かに閉じたい」「再漫画化は旧作ファンの心情を配慮して絶対に拒否」という主張を受け入れ、裁判関連の事情にも理解を示し、名木田氏は「この人たちは私の理解者!」と感激して出版契約を結んだらしい。
…が、いざ本が出てみると、態度を豹変させた祥伝社はファイナルをベースにした漫画化やアニメ化、海外での映像化等の企画を嬉々として持ち込みゴリ押しを始めた。 名木田氏は「執筆前にあれほど念押ししたのに…こちらの事情や心情に理解を示してくれたのに…」と困惑やら怒りやらを表明していましたが、いや、多少なりとも世の中を知ってる人間なら事前に想定できていた事態と思いますけどね。 最初に文庫化の話を持ち込んだ段階から、祥伝社は「ビッグタイトルである『キャンディ・キャンディ』の二次利用によるコンテンツビジネス」で一儲けするのを狙っていたって事でしょ。言うたらなんですが、小説キャンディの文庫版自体でそれほどの売り上げが見込めるとは思えないもの。だから復刊ではなく大幅リライトでタイトルも変えさせた。世間知らずな作家の浮世離れした主張なんて、適当に調子を合わせておけばいい。出版して権利に食い込んでしまえばこっちのもの、後はいくらでも丸め込める……という魂胆だったんじゃないですかね。 ファイナルストーリーが品切れのまま増刷されない実際の理由は知らないけど、その辺りの不協和音が影響してるんじゃないかと個人的には想像します。 そんな訳で、「ファイナルストーリーはキャンディの続編」とガセを流すのはやめようね。あと、現物を読んでもいないのに「続編でキャンディは○○と結ばれた」と又聞きで吹聴して回るのもやめましょう。実際に読んだ上で「私はこう解釈した」ならいいけど。 私もオタだからキャラ萌えカプ萌えは否定しませんが、物語自体のテーマ性を無視して自分の萌え解釈を他キャラのファンや公式に押しつけて騒ぐカプ厨行為はつつしもうな、リア中じゃないんだからさ。 『キャンディ・キャンディ』というのはキャンディス・ホワイトという倒れては立ち上がるタフな少女のビルドゥングスロマンなので、ぶっちゃけ、物語中に登場する少年たちはキャンディの人生旅の一里塚、成長の肥やしみたいなものなんだよね。「なんで殺した」「なんで別れさせた」と責められても物語作家としては困るだろうに。 なぜファイナルストーリーは「挿絵ぬきの小説」なのか
SNSで「本当なら、ファイナルストーリーだって いがらし先生の挿絵があったはずなのに と思ってしまうんです」などと心無い発言をしている人がいたので、裁判当時の水木氏の発言を再録しておきます。
暑いけれど、寒い夏 ◆ 水木杏子 1999-08-09 (Mon) 13:16:30
(「続編」ではないにせよ)原作者がいがらし絵と決別したからこそ『小説キャンディ・キャンディFINAL STORY』を書き得たのだ、という事実を踏まえれば、「いがらし絵の挿絵を入れてほしい」というのが如何に心無い言葉なのか理解できると思います。
アンソニーの死とテリィの登場について
伊藤彩子・著『まんが原作者インタビューズ―ヒットストーリーはこう創られる!』同文書院 (1999/10)より、水木杏子の証言。
水木:アンソニーの死やアルバートさんが丘の上の王子さまだったという謎解きは初めから決まっていたの。大河ロマンの連載といっても、人気が出るかどうかは分からないから、完璧なプロットっていうのは立てられなかったのね。途中で打ち切られるかもしれないし……。それで、プロットとして、大きな柱を何本か立てて、その間は自由に発想する、という感じで書いていくつもりでいました。でも、第一回からすごく人気があって、編集長がいつまでも続けてもいいよ、って。「アンソニーが亡くなった後はどうするの?」ってまんが家も担当も心配していたけど(笑)。 ポエム「思い出の箱」
『なかよし』1978年3月号付録「キャンディの思い出ノート」には水木杏子作のポエム「思い出の箱」が添えられているのだが、
こうやって すぎていく日々を
ファイナルストーリーの後日談部分はこのポエムを踏まえたものではないだろうか?キャンディスは少女時代に夢想した「思い出を入れる箱から思い出をとりだしてみがく」を大人の女性になってから実行しているのである。
参考:『キャンディ・キャンディ』の設定やキャラクターに関する原作者発言を含む記事
2003年11月に名木田恵子(水木杏子)公認ファンサイト「妖精村」掲示板上で、とある「キャンディ・キャンディ」ファンフィクサイトをめぐって議論があった。
ファンフィクションとリンクについて 投稿者:名木田恵子 投稿日:11月 4日(火)02時34分54秒
京都精華大学表現研究機構マンガ文化研究所による中傷フォーラム
2004年4月、京都精華大学表現研究機構マンガ文化研究所は、『キャンディ・キャンディ』の原著作者である名木田恵子(水木杏子)には出席のオファーをせず、漫画版作画者・いがらしゆみこ のみを招いて「マンガは誰のものか!?」と題した「フォーラム」を主催した。
その欠席裁判もどきの「フォーラム」の席上で、漫画版作画者・いがらしゆみこ は、ブッキングより復刊された小説『キャンディ・キャンディ』に関して、 「原作者が、法律を、そういうふうに自分に有利に働いたことを最大限に利用して、勝手に本を出して、それは正義であると主張しているのも、すごく納得のいかないことなのです」
と非難。日本マンガ学会理事・長谷邦夫、牧野圭一らパネリストも、いがらしゆみこの主張に対して大変同情的だったとの報道がされている。
参照:安藤健二著『封印作品の謎2』(太田出版)p48 および『週刊SPA』扶桑社(2004年6/8号)竹熊健太郎によるレポート P104-105 明らかな言いがかり発言ではあるが、一応事実関係を記しておく。
『小説キャンディ・キャンディ』復刊交渉開始から初版完売まで
2001/01/11に復刊コムでリクエストが受付開始、2002/04/27に投票者数が100名を超え復刊交渉が開始された。
復刊ドットコムからのメール ◆ 水木杏子 2002-05-06 (Mon) 15:20:30
まず元々の出版社である講談社からの復刊について打診したが、いがらしゆみことのトラブルを懸念した講談社は却下。復刊ドットコム(当時は「株式会社ブッキング」)から新たに合本版が刊行されることになった。
<小説版キャンディ>については、もう出版する意志もなく、このまま埋もれてしまってもよい、と覚悟を決めていました。
復刊ドットコムからの告知
株式会社ブッキング 左田野 渉
2003年に水木杏子(名木田恵子)旧公式サイト上で公開された、『小説 キャンディ・キャンディ』復刊報告。
小説版の復刊について
復刊書籍1,500部の完売報告と印税の寄付先について。
その後のご報告 小説版の今後について
『小説キャンディ・キャンディ』の印税、ハードカバー版1,500部 275,500円全額は、既に熊本市神水の<慈愛園乳児・子供ホーム>に寄付された。
オンデマンド版の印税も全て療護施設に寄付されるとのこと。 参照外部リンク: 水木杏子(名木田恵子)旧公式サイト内「小説版の復刊について」 このように最高裁判決後も、復刊を特に希望する愛読者に向けた少部数刊行、印税は全額寄付という形での作品利用のみにとどめている水木杏子に対して、いがらしゆみこは「法律を、そういうふうに自分に有利に働いたことを最大限に利用して、勝手に本を出して」と非難し、いがらしと親しい漫画業界人が理事を務めていた日本マンガ学会もわざわざイベントを開催して原作者攻撃に加担、同学会理事の長谷邦夫は様々な場所で原作者は印税配分が不満で裁判を起こした、ゴネ得を狙っている等と吹聴し続けた。
復刊ドットコムからの告知
ブッキング 左田野 渉
名木田恵子(水木杏子)公認ファンサイト内掲示板でも復刊報告がなされていた。
キャンディの小説版について 投稿者:名木田恵子 投稿日: 9月27日(土)22時27分53秒 キャンディとアンソニーの幼い恋と「赤い実はじけた」
その後、(株)祥伝社が『小説キャンディ・キャンディ』の文庫化を口実に名木田氏に近づき、2010年にリライト版ハードカバー『小説 キャンディ・キャンディ FINAL STORY』上下巻が刊行された。
参考: 『小説キャンディ・キャンディFINAL STORY』に関する著者一問一答 ファイナルストーリー刊行当時に名木田恵子公認ファンサイト掲示板上で、『小説キャンディ・キャンディ』内に幼い初恋のメタファーとして「赤い実」という表現が使われていることを指摘され、名木田氏の代表作の一つ「赤い実はじけた」の原点が「キャンディ・キャンディ」であることを自身認めている。 新しい世界に向かって 投稿者:名木田恵子 投稿日:2011年 1月 3日(月)23時06分55秒
2003年ブッキング(復刊コム)版の該当箇所。
キャンディはアンソニーから、ばらのはちを受け取ると、ため息をついた。夢のようにあわいピンク色のつぼみ……。ひらくとき、花の中からどんな夢がこぼれ落ちてくるのだろう。
2010年祥伝社版の該当箇所
差し出された淡いピンクのばらの鉢を、キャンディはドキドキしながら受け取った。
ハーゲンダッツ・クリスピーサンド『赤い実はじけた 恋の味 ~マスカルポーネ&ベリー~』発売記念MV「はじめてのチュウ meets『赤い実はじけた』」(漫画:横槍メンゴ)
名木田恵子(水木杏子)の新書版『小説キャンディ・キャンディ』あとがき
最後に、講談社版『小説キャンディ・キャンディ : 永遠のラブストーリー』 から、名木田恵子(水木杏子)のあとがきを引用する。
(略) ファンレターのあつかいについて
名木田恵子公認ファンサイト掲示板において、「キャンディ・キャンディ」を含むファンレターの取扱いに関する裏話が明かされていたので、引用しておく。
みなさまのお手紙のこと、お詫びなど。 投稿者:名木田恵子 投稿日: 2月20日(水)21時54分06秒
参考:『キャンディ・キャンディ』の設定やキャラクターに関する原作者発言を含む記事
1996年に情報センター出版局から刊行された『キャンディ・キャンディボックス : なつかしいポニーの丘から』(著者・近藤恵/川上千恵子)という書籍に関して、掲載情報(アードレー家系図など)を公式設定と誤解したまま広めている人がいるようなので、原著作者・水木杏子氏の旧公式サイト掲示板発言を再掲載します。
<CANDY・CANDY・BOX>について ◆ 水木杏子 2001-02-02 (Fri) 00:12:59 アードレー一族家系図(原作者・水木杏子公式設定版)
原著作者公式設定では
「エルロイ大伯母さま」、アルバートの父「ウィリアム・Ⅽ・アードレー」、ステアとアーチーの祖母「ジャネット」がきょうだい。 ウィリアム・Ⅽ・アードレーの子供が「ローズマリー」と年の離れた弟「ウィリアム・アルバート」、ジャネットの娘が「ジャニス」。 ローズマリーと駆け落ち同然で結婚した「ヴィンセント・ブラウン」氏との間の息子が「アンソニー」。 「ジャニス」とコーンウェル氏との間の息子たちが「アリステア」と「アーチー」 アンソニーから見てアルバートは大叔父ではなく叔父、アンソニーとステア&アーチーは従兄弟ではなく又従兄弟にあたる。 ウィリアム・Ⅽの晩年に生まれた息子であるウィリアム・アルバートを除けばアードレー本家は女ばかりで、事業に差支えが出るのを恐れてウィリアム・Aをウィリアム・Ⅽと誤認させるようにしていた……ということらしい(一族の年長者は当然承知しているが、「外様」であるラガン一家はそのあたりの事情をまったく知らされていない)。 ニールとイライザのラガン兄妹
エルロイには子がなく、ニールとイライザはエルロイの夫「ブリアン」の縁者「サラ」が「レイモンド・ラガン」に嫁いで生まれた子供だが、水木杏子旧公式サイト内のエッセイ「キャンディとであったころ」によると、サラ・ラガンには出生の秘密があり、それがニールとイライザの性格に影響しているとの事。
参考:原作者公認ファンサイトMisaki's Candy Candy内「キャンディとであったころ」アーカイブ エピソード5・ニールandイライザ エピソード6・屋根裏部屋から ニールとイライザがアードレー家の紋章を知らないのは不自然ではと思ったが、エルロイが(不憫に思って?)サラ母子に目をかけてやっているだけで、ラガン家はアードレー家とは血縁がなく、分家ですらないのならば一応納得できる。ニールが本編内で一度もアードレー氏族のタータンを着ていないのもその為だろう。ただしラガン家の微妙なポジションが「サラ・ラガンの出生の秘密」に起因し、それがアードレー家との何らかの血縁関係という可能性もある。 ブラウン氏とラガン氏のフルネーム
アンソニー父とラガン氏のファーストネームについては、名木田恵子公認ファンサイト掲示板で明かされている。
なんだか気持のいい風が・・ アーチーボルト・コーンウェルとイライザ・ラガンの初期設定とステアの誕生日
余談だが、2003年の小説復刊時に「アーチー」の連載前段階の名前は「アルトルド」、「イライザ」は「イザベル」であったとも明かされている。
きのう! 書庫の整理をしていて古いふる~い漫画のゲラ<悪魔のメルヘン>(まんが 丸山佳さん・・原案・わたし となっている)と、<星がでるまで>(漫画、森谷幸子 原作 わたし)の間からすっかり忘れていたノートが出てきました。 (プロットメモのノートは”事件”に提出しましたが・・このノートの存在は忘れていたの・・・) 豪雨お見舞い・・・ 投稿者:名木田恵子 投稿日:10月14日(火)16時44分46秒 そのノートには、アードレー家の家計図のメモもあって(物語が始まる前の)
尚、なかよしまんが新聞記載データのうち、ステアとアーチーの誕生日が入れ替わっていると原作者公式サイト連載のエッセイ上で申告されている。つまり、アーチーが5月25日、ステアが10月11日生まれというのが正しい誕生日データということになる。
参考:原作者公認ファンサイトMisaki's Candy Candy内「キャンディとであったころ」アーカイブ エピソード6・屋根裏部屋から ジョルジュとローズマリー・ブラウン
また「ジョルジュ」がなぜフランス名なのかについては、水木杏子旧公式サイト内「小窓から」 2001年4月「花いっぱいの小窓~わき役たちの人生」で明かされている。
花いっぱいの小窓 わき役たちの人生
ローズマリーはブラウン氏との大恋愛の末にアードレー家を出たこと、そのかけおちを手助けしたのがジョルジュであること、ジョルジュ自身も孤児であり故ウィリアム・C・アードレーに大恩があること、密かにローズマリーを愛していたこと……などの裏事情は1979年刊行の『小説キャンディ・キャンディ』第3巻で明かされている。
スザナ・マーロウとテリュース・G・グランチェスターの年齢
スザナやテリィの年齢についても公認ファンサイト掲示板で回答しているが、あくまで『なかよし』という掲載媒体の都合上の設定年齢であり、厳密にリアリティを考慮した数字ではないらしい。(昭和のロボットアニメでは主人公の設定年齢が18歳上限だったのと同じようなものだろう)
投稿者名: 名木田恵子 ハートの小窓のUPなど ◆ 名木田恵子 2002-02-26 (Tue) 22:39:18 ピノキオというピンクの薔薇 ◆ 水木杏子 2002-05-15 (Wed) 21:06:01
テリュース・G・グランチェスターの「G」がミドルネームであるグレアム (Graham)の頭文字であることも『小説キャンディ・キャンディ』で既に明かされているのだが(「グレアム」は母エレノアのつけた名であり、父親の姓を名乗るのを嫌ったテリィは役者として活動する際には「テリユース・グレアム」を名乗っていた)、『CANDY CANDY BOX』では「テリュース=G=グランチェスターの「G」とは何の略なのか?」などというコーナーに面白おかしく1Pを割いている。大ファンといいながら原作者の公式小説を読んでいないのか、存在を知りながらガン無視しているのか……。
テリュース=G=グランチェスターと比村和夫の誕生日
復刊コムにリクエストしてる人がいるようなので、ついでに書いておきますが、1993年9月にワニブックスから刊行された『キャンディはアルバートさんと結婚したの? : 少女漫画ヒミツ発見 (ISBN: 4847030982)』というのは当時流行していたクッダラナイ非公式の謎本で、公式とは一切かかわりない妄言をテキトーに書き連ねただけのシロモノ。そもそもキャンディに割かれた分量は少なく、様々な有名少女漫画についての与太話をまとめた安易な便乗本です。
参考:『キャンディ・キャンディ』の設定やキャラクターに関する原作者発言を含む記事
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