CANDY CANDY BOOTLEGS!!
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まんだらけオークションで売却された連載時いがらしゆみこ原画

2/14/2021

 
まんだらけZENBU 101
2021年2月8日付でFacebookの個人アカウントにて、札幌のデザイン会社社長が
「新たにいがらしゆみこのマネージメンとを開始するにあたり、原画のリスト制作を行う過程で所在不明の原画が多数存在するのを確認。ここで初めてネット検索をしたところ、某社のネットオークションにかけられているのに気づき、自分たちもオークションに参加したが高額で落札できなかった(大意)」
という発言をしていました。

なぜか固有名詞を使わずに「コミックの表紙にも採用された超有名な原画が某企業のサイトでオークションに」と記述しておられるのですが、これは「2021年1月まんだらけ大オークション『キャンディ・キャンディ』特集」で最終回見開き扉が売却された件を指していると思われます。
件のデザイン会社社長が確認したところ、いがらし氏は当該原稿を「手放した記憶は無い」と証言。
デザイン会社社長は件の原稿は盗難にあったと結論したが、
「ただただ悔しく、腹立たしい出来事ではありました。」
「(オークションで落札回収できず)なすすべなく、本当に悔しい思いをしました。」
​「落札された方が、盗まれた作品であったという事実を知り、悲しむかもしれないと思い、公表を迷いました。」
「無力を悔やみくよくよしてても仕方なし!」

……と一人で落ち込んで立ち直ってポジティブシンキング!を表明しておられるのですが、あなた個人の情緒の問題に矮小化して「いい話」に落とし込んでる場合じゃないでしょ。

​原稿の盗難と無断売却が事実ならば、明らかな犯罪ですよ?漫画界をゆるがす大事じゃないですか。正式に盗難届を出した上で法的処置をとるべきでは?それとも手続き進行中?
コミック・ゴン! 第3号P172
コミック・ゴン! 第3号 (1998年ミリオン出版)P172掲載の特集記事「日本が誇る『キャンディ・キャンディ』の作者いがらしゆみこ先生のお宅を訪問!!」より

いがらし氏は記事中の「練馬のキャンディ御殿」を売却して2001年には北海道に転居しているが、原稿の管理体制が大きく変わったとも思えない。デザイン会社社長の発言が事実ならば、このように厳重に管理された倉庫から多量の貴重な原画が盗み出されたことになる。
まんだらけオークションを介した漫画原稿の無断売却といえば、2003年に発覚した「さくら出版原稿流出事件」が有名ですが、この時の裁判では、まんだらけの「善意の第三者」という主張が退けられて盗難原稿の無償返却を命じられたという判例がありますよ。

悪質な犯罪をなあなあで済まさず厳しく追及し、きちんと法的処置をとるのが、ベテラン漫画家として業界に果たすべき責任でしょう。さもないと「探られたら痛い腹でもあるのかしら?」と邪推する人間も出てくるのではないでしょうか。

……という訳で、気高いボランティア精神を発揮して、過去にまんだらけオークションで売却された「キャンディ・キャンディ」と「メイミー・エンジェル」の連載時原画を以下にリストアップしてみました。
​
​(いがらし原画のオークション落札記録は、私の知る限りでは2012年から全世界に向けて堂々と公開されているのですが、なぜ呑気に10年も放置し続けてきたんでしょう。いがらし先生に注進してくれる人はいなかったんでしょうか)

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正規品を称する海賊版アニメDVDのカラクリ

3/22/2020

 
01

『キャンディ・キャンディ』と『UFOロボグレンダイザー』DVDライセンス詐欺事件

DIGITAL Diffusion Video
 2005年11月24日、フランスのDIGITAL Diffusion Video社のレーベルPony Girlから『キャンディ・キャンディ』のDVDボックスセットが発売された。
無論、東映には無許諾の海賊版であり、即刻市場から回収されたが、一部はネットオークションに流れてプレミア価格で取引される結果となった。

発売前から雑誌Shojo mag、OTAKU等に大々的に広告が掲載されて予約を取っていたのだが、向こうのファンにしてみれば「キャンディ封印」は周知の事実である上、記載の連絡先が携帯電話の番号だったりと怪しすぎるシロモノだったので、東映に何件も問いあわせがいったそうだ。

広告によると、2005年11月から2006年4月にかけて、全5巻のボックスが発売予定だった。
この事件、ただの海賊版と違ってややこしいウラがある。

1978年、東映は丸紅とキャンディの二次使用に関する契約を結んだ。
当然、とっくの昔に期限切れした契約なのだが、その「契約」がめぐりめぐってDIGITAL Diffusion Video社のものとなったらしい。

正確にいうと、IDDH Distribution社の株主のBruno-Rene Huchezが元丸紅の社員で、自分で会社を起こす際に丸紅からチョッぱってきた契約書を大いに利用した……ということのようだ。
で、HuchezがIDDH をたたんでPoly Production 社を設立した際に各種の契約書をそのまま持ち込み、更にPoly Production 社がDIGITAL Diffusion Video社にその権利を許諾したという流れ。

DIGITAL Diffusion Video社が「善意の第三者」かどうかは知らないが、その契約書を振りかざして「海賊版じゃないもん」と正当性を主張したせいで、裁判がちょいとややこしくなった。

が、2006年5月12日に東映の訴えを認めた仮処分、9月にはベルサイユの控訴院がPoly Production 社とIDDH 社間の契約無効判決を下した。
その後に明らかになった情報によると、『キャンディ・キャンディ』と『グレンダイザー  Goldorak』のフランス語版マスターテープを(物理的に)手に入れたのがBruno-Rene Huchezのもう一つの持ち株会社LSL Communication 。
ブツはあっても権利がないもんだから、権利書をデッチあげてうまい商売をしようとたくらんで暴走したっぽい?

上記一連の情報はフランスのGoldorakマニアのブログGoldorak-Gate (http://www.nonoche.com/goldogate/?cat=15)で仕入れた。フランス語の読解に間違いがあるかもしれないので、詳細は各自で原文を確認していただきたい。
(ここまで旧ブログ記事
2006-12-12 23:17:00初稿)
02

台湾と韓国の「自称『キャンディ・キャンディ』正規版DVD」

小甜甜 30週年圓夢中文版 DVD
2008年8月、いがらしゆみこの台湾における事業パートナー齊威國際多媒體股有限公司(Power International Multimedia Inc.略称PIM)から『小甜甜 Candy Candy』のDVD BOXが販売された。いうまでもなく東映アニメーションも原著作者・水木杏子も許諾していない。​

当時、台湾のアニメオタクに尋ねてみたところ、PIMは世界名作劇場のDVDなどを正規契約で出しているまともな会社で、怪しげな海賊版会社ではない……ということだった。
そのPIM社の公式サイト内にあった「小甜甜 30週年圓夢中文版 DVD」予約開始告知ページで公開されていた「キャンディ・キャンディ正規版DVD制作秘話」は以下の通り。
『小甜甜』圓夢中文版的誕生…

曾經陪伴你我度過了美好童年的經典卡通『小甜甜』,在DVD影音市場的詢問度一直居高不下,有無數喜歡『小甜甜』的朋友,都希望能夠再見到甜甜活潑開朗的身影。經過多年的不懈努力,總算皇天不負苦心人,製作小組終於從西班牙取得了『小甜甜』115集的完整版母帶及使用發行權利。

但當這套得來不易的『小甜甜』母帶飄洋過海送到台灣後,我們發現母帶上並沒有可供重新配音的音軌,而且因為歷經了近30年的漫長歲月,加上母帶的保存狀況並不完善,所以可以呈現出的畫面與理想的DVD畫質仍有些微差距;這時製作小組人員立刻陷入了為難的掙扎,要捨棄這套唯一的母帶嗎?

我們深知肩上背負的是小甜甜迷的殷殷期盼,在經過釵h次反覆討論與會議規劃後,製作小組慎重做下決定:所有小甜甜迷的辛苦等待應該畫下句點了!於是我們將整套母帶送到專業後製廠商進行畫面穩定和增色的處理,希望將影像的瑕疵減到最低的狀態。並且再投入一百多萬元的費用,開始進行中文配音、配樂、音效等作業;務求中文版的聲音能百分百貼近你我記憶中的『小甜甜』,以彌補影像畫質不足的缺憾!另外,因為考量整個『小甜甜』的故事發生的背景是在美國和英國,所以也就部份人名做了一些調整,如:辛苦照顧保兒之家孩子們的「包院長」和「林老師」(之前台灣電視台播出時的譯名),都參考日文版的原音,改成了「寶妮院長」和「蕾恩修女」;還有甜甜的全名「白甜甜」(劇中是蕾恩修女看到甜甜白皙的皮膚而取其義,用了“WHITE”當甜甜的姓),也調整成西式的姓名「甜甜懷特」。這是製作小組經過審慎評估後,能做的最妥善處理了,也希望能獲得所有喜愛『小甜甜』的朋友們,您的支持與肯定!

於是,記憶中熟悉的甜甜回來了,一圓小甜甜迷夢想的『小甜甜』中文版終於誕生了……

齊威國際多媒體股有限公司(Power International Multimedia Inc.略称PIM)『小甜甜 Candy Candy』DVD-BOX販売ページ 2009年10月24日 16:33魚拓 より
​http://s03.megalodon.jp/2009-1024-1633-38/emall.focusdvd.com/modules/shop/product_info.php?products_id=1894
重要なところだけかいつまんで訳すと、
最終的に、天は自ら助くる者を助くの例えの通り、制作チームはついにスペインから「Candy Candy」全115話のマスターおよび頒布権を入手しました。
更に、くだんのマスターテープは30年前のもので再ダビング用のオーディオトラックもなく、専門のポストプロダクション・スタジオにマスターの画像調整を依頼し、100万元以上の費用をつぎ込んで吹き替えとサントラを追加した、と苦労話を披露しているのだが……。

東映動画が講談社を介して取得していた『キャンディ・キャンディ』の放送権・ソフト化権は1995年に失効。未だ権利を保持していた時点で外国企業に許諾した放映権等も2001年までには全て失効しているはず。

「スペインの
頒布権​」は正規のものかもしれないが、どんな迂闊なライセンサーだってサブライセンスや譲渡の権利を海外のライセンシーに易々と与えたりはしないし、更新手続きナシで無期限継続のライセンス契約なんてある訳ない。
フランスのDIGITAL Diffusion Video社と同じような契約書転売詐欺かと思われるが、問題はPIM社がこの当時、台湾におけるいがらしゆみこの事業パートナーであり、このDVD発売がいがらし氏の知らぬうちに行われていたとは考えにくいということだ。
​参考:台湾でいがらしゆみこ自ら『キャンディ・キャンディ』モドキ商売​
『新小甜甜Lady Lady』五十嵐優美子
いがらしゆみこの"オリジナル新作"『甜甜Lady Lady』のグッズ(台湾における版権管理はPIM社)
台湾DVDの前年、韓国でも無許諾放映や正規版を称する海賊DVDの販売が大々的に行われているのだが、これも期限切れ契約書の転売で正当化しているのだろうか。
2007年の春から、韓国で許可なく<キャンディ・キャンディ>の不正アニメ放送が堂々と開始されてしまいました。

むろん、東映アニメは許諾などしていません。

東映アニメは、2007年、3月13日付けで放送を中止するように、韓国側に文書を送付する一方、<**Kim>という人物が関わっていたというところまで、つきとめたといいます。
東映アニメは、その後も<放送中止を求める>との姿勢でしたが、韓国での放送は開始され継続されているようです。

(略)残念ながら、いまや韓国ではTV放送だけではなく、DVD、漫画、グッズ、と<現在、韓国において出回っている“すべてのキャンディ関係”>のものは<著作権者の許可を得ていない海賊版>であることを、お知らせしておきます。

参照外部サイト:
水木杏子旧公式サイト内「韓国での不正アニメ放送、DVDについて」
原著作者・水木杏子と東映アニメーションの関係は良好であり、水木は裁判当時も判決後も「アニメの再放送はいつでもOK」と公言している。
No.146 >おたずねのことなど
投稿者名: 名木田
投稿日時: 2006年12月08日(金) 19時17分

(略)
”キャンディ”を懐かしんでくださる方に出会うと・・複雑な思いです・・
漫画本に関しては、ほとんど無理かもしれません・・。

でも、アニメに関しては・・<東映アニメ>の作品であり、東映アニメが今後どうしたいかが、問題なのです。
わたしの意向で動くことではありません。
<東映アニメ>の姿勢がきちんとしていて、そのお気持ちがあれば、東映側のさまざまなことを責任を持って解決なさり、動かれると思います。
わたしの関知することではないのです。

名木田恵子(水木杏子)公認ファンサイト「妖精村」掲示板より
しかしながら、単純な海賊版ではなく、期限切れ契約書を悪用して正規版を装った版権詐欺がまかり通り、しかもそのDVDを出していたメーカーのうち一社が台湾におけるいがらし氏のビジネスパートナーとなると、到底うやむやにしたままのアニメ再放送などできるはずもない……というのは普通の判断力のある大人ならば理解できるはず。

偽版画&違法原画販売~20年目でも新ネタ

1/31/2020

 
01
自サイトの更新作業中にオークションサイトで過去に販売された偽版画や違法原画の出品をふとチェックしてみたところ、広島県在住の同一出品者(他の取引内容から判断して業者ではなく一般出品者と思われる)が偽版画&描きおろし原画4点を出品しておりまして。

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『封印作品の謎 少年・少女マンガ編(安藤健二)』 電子書籍化

4/19/2018

 
『封印作品の謎 少年・少女マンガ編』 安藤健二 (著)
安藤健二 (著)『封印作品の謎 少年・少女マンガ編 』(彩図社文庫)が電子書籍化されました。

主だった電子書籍サイトで配信中なので、キャンディ事件に興味のある方は、是非この機会にご一読を。

本の価値を下げないように、私のサイトでは最小限の引用に留めてありますが、第三者の憶測などではない、講談社の編集者や事件当時を知る漫画業界人の貴重な証言が満載です。
具体的には

  • 講談社の『キャンディ・キャンディ』初代担当編集者・清水満郎氏が地裁に提出した『キャンディ・キャンディ』製作過程に関する詳細な陳述書の要約
  • 講談社版権事業推進部長・新藤征夫氏が地裁に提出した講談社の原作付き漫画の契約と版権管理についての陳述の要約
  • 事件当時には版権管理部に所属しており、元々いがらしゆみこと親しかった講談社社史編纂室部長・竹村好史氏へのインタビュー
  • 訴訟になるより前に いがらしゆみこに水木杏子への謝罪を促して両者の仲裁を試みた元マンガジャパン事務局長・原孝夫の証言(及び、地裁判決前にいがらしに水木と和解するように説得した友人漫画家の証言)

他の記事を飛ばして竹村氏のインタビューだけを読んでも、充分に事件の本質(法律/契約面、両者の感情面、漫画文化の側面共に)は理解できると思います。

…てゆーか、みんながこの本をちゃんと読んでくれれば、私がこんなサイトを運営しなくてすむんだよ!

『キャンディ・キャンディ』マーチャンダイズの契約関係

勘違いしている人が多いのですが、キャンディ事件は「昔は契約が曖昧だったから」起こったのではありません。
億単位のキャラクタービジネスだった『キャンディ・キャンディ』は、講談社が版権管理をしていた時代から、口約束ではなく成文の契約書が作成されて、きっちりした管理がされていたんですよ。

  • キャンディに関する版権管理契約は、昭和51年(1976年)4月から、いがらし-講談社、水木-講談社間でそれぞれ契約書が取り交わされ、以降三年ごとに契約更新されて続いていた。(漫画の連載開始は1975年4月号から、アニメの放映開始は1976年10月から)
  • 更に昭和54年に大阪で起きた「キャンディ・キャンディ」にせTシャツ事件裁判の際に、版権管理担当の出版社、原作者、漫画家、アニメ会社の契約関係は厳密に再確認されている。
  • そして講談社との管理契約を切った後も、水木といがらしは「キャンディの利用には両者の許諾が必要」という内容の契約書を交わしている。
  • その契約は講談社時代よりもいがらしに有利な内容だったにもかかわらず、いがらしは契約に違反して水木に無断でキャラクタービジネスを行い、多額の金銭を着服した。(水木が企画に反対する・しない以前に、いがらしは水木に何も知らせず、初めから蚊帳の外においてビジネスを行なった。しかも悪質なエウリアン/絵画商法まで行なった)

『キャンディ・キャンディ』復活の条件

それと、本書を読めばわかるけど、
アニメ版キャンディ復活の条件としては
  • 水木・いがらし共にアニメの再放送やソフト化には反対していない(むしろ積極的に望んでいる)
  • 東映と水木の間には何の問題もない
  • 問題はいがらしゆみこが行なった東映の商標権侵害と、アジア圏における無断DVD化等への関与疑惑


漫画の出版に関しては、
  • 講談社コミックスの絶版処置は水木の独断ではなく、水木と講談社が相談の上で決定された
  • 水木は「契約をいったん白紙に戻すが、いつか事が解決すればもう一度契約する」と公式に発言している
  • 講談社と水木の間には何の問題もない
  • いがらしの一連のダーティビジネスは講談社との契約を切ってから行なわれたので、講談社が直接的に権利侵害された訳ではない
  • 竹村氏のインタビューによると、講談社は再び漫画を出版したい意向はあるが、それにはまず、いがらしゆみこが水木杏子に謝罪をしない事には動けないという立場

……以上から、キャンディ復活に必要な最低条件は
  • いがらしゆみこが水木杏子に謝罪する
  • いがらしゆみこが東映に謝罪する(&アジアでのダーティービジネスに関する釈明)

ここまで拗れた以上、謝りさえすれば万事解決するとも思えませんが、いがらし側から水木への謝罪表明がなければ、講談社にしろ誰にしろ、仲裁のしようがないんですよ。

「版権ゴロに騙されていました」「悪徳弁護士に洗脳されていました」でもいい、心の中で舌打ちしていてもいい、いがらしが形だけでも水木に対する謝罪の意を示せば、周囲もアニメのソフト化や放映に向けて何らかのアクションをとれる。

とりあえずハードルの低いアニメ再放送を実現し、いがらし・水木・東映・講談社の権利関係を連載当時に戻す。
漫画の復刊は難しいけれど、アニメ復活に伴い水木氏と講談社・東映が接触する機会も多くなるであろうから、その機会に辛抱強く説得を重ねる。

問題の解決には、この正攻法ひとつしかないんです。抜け道も奇策も存在しない。
法の抜け道を探して無理やり出版や再放映をしようとすれば、更に解決は遠ざかるでしょう。


事件の経緯自体は複雑だけど、解決法については疑問の余地なくシンプルなんですよ。
原作者も講談社も東映も、それぞれの立場でやるべき事は既に全てやっている。
いわば、「ボールはいがらし氏に渡されている」んです。


(そして原作者も講談社もこれだけはっきりと公式に意見を表明しているのに、何故、一部の人間は、それを無視して「原作者が何を考えているのかわからない」「講談社は事態の解決の為に何もしていない」と吹聴して回るのか)

あと、時々「どちらかが死ねば」と不謹慎な事を言う人がいますが、仮に作画者か原作者のどちらかが物故したとしても「いがらし側」から「水木側」への謝罪は必須。
いがらし側親族はキャンディの不法ビジネスに関与しているし、水木側の親族は裁判当時もその後も、いがらし側から中傷デマを流されて被害を受けているので。
封印作品の謎 少年・少女マンガ編
著者: 安藤健二
(略)
今回(2005年秋)『封印作品の謎』の著者、安藤健二氏の取材を受けました。その際、再度深く考えました。そして、簡単に<封印>という言葉を使った自分を恥じています。

確かに今まではこれも<封印>の範疇かもしれないと甘んじていましたが、この言葉を使うと、あたかも原作者、水木の意志で封印されてしまった、と受け取られることを取材を受けて強く感じ、冷水を浴びされた思いがしました。
 
この事件は、水木サイドの初動ミスによって<詐欺事件>が<著作権侵害事件>にすりかえられてしまいました。あたかも<著作権問題>について論議されたような結果を招いてしまい自らの愚かさとはいえ残念でたまりません。

また、その問題を正当化せんといがらし氏の弁護士、取り巻きの漫画家や漫画評論家たちが画策しています。

この漫画作品はそういった人たち(この事件を検証しようともしない、また作品を本当に愛しているともいえない)によっていっそう暗闇に追いやられているのであって、<封印>とは全く意味が違うことを少しでも理解していただけたら、と願っています。

水木杏子公式サイト内「キャンディ事件の現状について」より

アニメック第23号(昭和57年4月)ザ・プロフェッショナル第四回 いがらしゆみこ

3/2/2017

 
ラポート社『アニメック』1982年23号
最高裁判決前後のいがらし氏は、自分の原作者否定発言は法廷戦術として弁護士から強制された的な言い訳をしていたのですが、トゥゲッターで広まった某先生の発言を見ると、相変わらず周囲には「後からつけられたシナリオ補に権利を奪われた」ようなことを吹聴してるっぽいですね。

で、そんないがらしゆみこ先生が問題を起こす遥か以前の1982年にラポート社の『アニメック』誌で受けたロングインタビューでの発言。
01
――では、『キャンディ・キャンディ』が出たところで、そのお話を。まず、原作つきですとどんなプロセスで展開しますか。
「『キャンディ』の場合は、発端は編集さんだったんです。『アルプスの少女ハイジ』を観た私の担当さんが、何といい話だろうって感動して、こういうのマンガでやろう、原作つきでやってみないかというお話が私のところに。
原作の水木さんは昔、青池さんと組んでやってらしたでしょ、『グリーンヒル』とか……。『キャンディ・キャンディ』は彼女の得意な分野だから、お見合いして、よかったらGO――と」

――ハァ、お見合いですか。
「ええ、やっぱりあちらの感性とこちらの感性で一致するものがないと、うまくいかないし」

――一本づつ打ち合わせを。
「わりとその都度やってましたね。原作をマンガに直しちゃうと、その続きを今度はまた彼女と話しあって。文章を絵にする場合、そのまんま、っていうのは絶対ムリですからね。たえずコンタクトしてやってました」

――そうすると、ストーリーがだんだん変化していく場合も……。
「やっぱりあるんです。第一次世界大戦は、ストーリーが進んでからいれることになったエピソード。結局、年代を定かにしちゃうとキャラクターの年齢が出ちゃうでしょ。『キャンディ』では途中で生まれた年月日をバラシちゃったんですよねぇ。読者がとても知りたがったものだから。そうすると、第一次大戦終わるとキャンディ、20になるの。"なかよし"で20で何描こう、ってなっちゃうじゃない(笑)。それに、時代考証っていうのは目いっぱい手カセ足カセになってしまう場合があるから……。私はまぁ、時代はいつでもいいじゃないか、国はどこでもいいじゃないか(笑)って思うタチなのね。無国籍マンガってすごく好きだから………(笑)」

――文章って、小説のように書いてあるんですか。
「ほとんどそうです。――青い空、白い雲が流れて、むこうの景色まで見わたせるような澄んだ空気の中を、彼女は走っていた――と。アー、どうしよう(笑)アー、ムズカシイ(笑)って」

――ネームは指定があるんですか。
「ないです。好きにやって下さい、みたいなカンジで……。水木さんとは、年代がすごく似てるから、違和感ってゼンゼンないのね。やりやすかった」

アニメック第23号(昭和57年4月)ザ・プロフェッショナル第四回より
↑企画は編集部で、自分に話が持ち込まれた時には既に原作をつけることが決まっていた、と語ってますね。
水木氏の証言や『封印作品の謎』に掲載されている講談社の担当編集者の陳述内容と一致しています。

それが契約違反で訴えられた途端に
「キャンディ・キャンディ」は私と担当の編集者との間で企画が生まれ、後にストーリー補強のため原作者を選ぶ形で制作を開始した作品
などという主張を始めるわけです。しかも、相手によって、時期によって、
「水木はうちのプロダクションで時代考証関係の資料整理をやってただけの人間。手違いで原作者として表記された」
「水木は『時代考証はよくわからないから、後はおゆみよろしくね!』と丸投げだった」
「水木の原作はペラ一枚に走り書きしただけの到底原作などと呼べないシロモノだった」
「水木の原作は無闇に長くて、私が大幅に改編して構成し直さなければ使い物にならなかった」
…と発言内容がコロッコロ変わる。

最終回にいたっては、周囲の人間には「最終回の内容はとっくの昔に決めていた。原作は見ずに書いた」と言いながら、裁判所に「水木が原作を書いていない証拠品」として最終回の原作原稿に「ここはカット。ここは改変して使用。ここは使用」とマーカーで注釈を入れて提出。

こんな調子のいがらし氏が吹聴している話を鵜呑みに出来る人の精神構造ってのも、良くわかんないよね。
02

『まんが原作者インタビューズ(同文書院1999年)』より水木杏子の発言

ご参考までに、伊藤彩子・著『まんが原作者インタビューズ―ヒットストーリーはこう創られる!』同文書院 (1999/10)より、水木杏子が語る「キャンディ・キャンディ」の連載企画の発端について。
――『キャンディ』っていうのは、いがらしさんが連載をやることが決まってて、編集サイドから企画が出されて、じゃあ原作者は誰にしようってことで水木さんにお話がきたんですか。

水木:正確にいうと、『なかよし』編集長の企画で「少女名作まんが」をやることになって、いがらしさんと私がコンビを組むことになったのね。私の方は前々から「いつか名作ものやるぞ、考えとけよ」と東浦さんに言われていました。いがらしさんの方は、どう言われていたのかはわからないけど。

――東浦さんが少女名作ものにこだわっていたっていうのは、それをストーリーまんがにしたら、面白いものになるっていう確信があったからなんですか?

水木:そうでしょうね。東浦さん自身が当時、雑誌のインタビューでそう言ってらしたように記憶しています。(略)

『まんが原作者インタビューズ―ヒットストーリーはこう創られる!』P156-157より
連載中の漫画家との打ち合わせについて。
――原稿を編集者に渡したら、もう雑誌に載るまで見ないっていう感じだったんですか?

水木:いえいえ、原稿を読んだ後、いがらしさんから深夜電話があって、よく相談しました。たいてい、私の原稿が長くて収まらないというのね。まんが家にしてみれば、ここで大きくページを取りたい、というのも分かるし、途中で切れば次の「引き」を考えなくてはならない。「引き」は大切で、担当から「引き」が面白くないと文句を言われるし、そうそうハラハラドキドキの「引き」を考えられない。
生原稿で、同じシーンがいろんなパターンで何回も書いてあるのが残っていて、思い出すとみんな「引き」のためにそこだけ書き直していたのね。

​『まんが原作者インタビューズ―ヒットストーリーはこう創られる!』P162-163より
こういう手順で作られていった事実を、いがらし氏と親しい漫画業界人は「少女マンガの女王いがらしサンに、新人だった水木さんは当初言われるままに書かされてきた」などと意図的に歪曲して流布してきたわけです。

韓国生命保険会社のCMにおける『キャンディ・キャンディ』主題歌使用について

11/7/2008

 
01

教保生命保険株式会社のCM

2004年8月韓国において、水木杏子氏が「名木田恵子」名義で作詞を担当した『キャンディ・キャンディ』主題歌を使用した教保生命保険株式会社(Kyobo Life Insurance Co., Ltd.)のCMがオンエアされました。 

​この件については、水木氏・韓国側担当者双方から経緯報告がなされております。
02

「韓国CMでの主題歌の使用について」

   (略)
このホームページの<韓国ハイブックス社における不正出版について>で記したように、 この数年間、韓国での不正な動きが活発になりため息が出ていました。

今回、キャンディの作詞の版権を管理してくださっているテレビ朝日ミュージックから CM使用のお話があったとき、即座にお断りしたのは、そういった現在のあやしげな背後関係があったからで、 (また、韓国なの・・)と正直うんざりしたからです。

しかし、主題歌については、作曲者の故渡辺岳夫先生あってこそ生まれた歌だと思っています。(けれど、<作詞の替え歌は拒否>いう姿勢は貫いてきました。)

今回、拒否した理由は前記のあやしい背景の疑惑と<訳詞>を使用するということ、 また、すでにCMは完成。オンエアを待つばかりと聞いて (また、事後承諾か)とそのことにもうんざりしたからです。(事件の後遺症はなかなか癒えませんね・・・)

 (略)

<事後承諾>になった理由は、制作前に韓国の著作権管理団体(KOMCA)の 許可をもらっていたということ。

あろうことか、韓国では何十年間に渡って韓国人の<編曲者、訳詞者>たちが 自分らの創作物としてそのKOMCAに著作権登録をしていたというのです。

むろん、その韓国人の<編曲者、訳詞者たち>には著作権はありません。

広告代理店側は制作完了寸前、それを知って、 あわてて本来の<著作権者>の許可を求めて来日したというのです。
(その事実を何十年間も知らなかったテレビ朝日ミュージックはKOMCAに厳重に抗議、 その“編曲者、訳詞者”の著作権登録を抹消してもらいました。)

出来上がったCMをヴィデオで拝見しましたが、 心温まるすばらしい作品でした。

キャンディの主題歌を歌いながら夫を慰めるというやさしく力強いシーンに胸が熱くなりました。
ヴィデオに添えられたお手紙には(完成したフイルムを見たときスタッフ一同、思わず涙しました ・・・それだけこのCMには思いを込めているのです)とありました。

 (略)

        参照外部リンク:
        水木杏子公式サイト(旧)内「韓国CMでの主題歌の使用について」web.archive.org
※ 正確にいうと、韓国側の登録者は「韓国版の編曲・訳詞部分に関する権利は有していても、原曲の作曲・作詞に関する権利は有していない」「原曲の作詞・作曲者としての誤った著作権登録を抹消してもらった」ですね。
参照外部リンク:水木杏子公式サイト内 
    「韓国ハイブックス社における不正出版について」
 「韓国での不正アニメ放送、DVDについて」

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