CANDY CANDY BOOTLEGS!!
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東映アニメ版『キャンディ・キャンディ』お蔵入りの現状

1/23/2019

 
01

キャンディ・キャンディ韓国正規版DVDは「正規版」ではありません

現在「キャンディ・キャンディ 正規版DVD」を称してネット通販されている韓国や台湾製のDVDソフトは、原著作者・水木杏子と東映アニメーションの許諾を受けずに製造販売されている海賊版です。
2007年の春から、韓国で許可なく<キャンディ・キャンディ>の不正アニメ放送が堂々と開始されてしまいました。

むろん、東映アニメは許諾などしていません。

東映アニメは、2007年、3月13日付けで放送を中止するように、韓国側に文書を送付する一方、<**Kim>という人物が関わっていたというところまで、つきとめたといいます。
東映アニメは、その後も<放送中止を求める>との姿勢でしたが、韓国での放送は開始され継続されているようです。

(略)残念ながら、いまや韓国ではTV放送だけではなく、DVD、漫画、グッズ、と<現在、韓国において出回っている“すべてのキャンディ関係”>のものは<著作権者の許可を得ていない海賊版>であることを、お知らせしておきます。

参照外部サイト:
水木杏子旧公式サイト内「韓国での不正アニメ放送、DVDについて」
東映動画が講談社を介して取得していた『キャンディ・キャンディ』の放送権・ソフト化権は1995年に失効。未だ権利を保持していた時点で外国企業に許諾した放映権等も2001年までには全て失効しています。海外では期限切れの契約書を悪用した「正規許諾品のように偽装した海賊版」がしばしば販売されていますので、うっかり購入したり、正規品であるような誤情報を広めたりせぬようにくれぐれも気をつけてください。
尚、東映も原作者も許諾していない台湾海賊版を正規品と称して販売している齊威國際多媒體股有限公司(Power International Multimedia Inc.)は、台湾における いがらしゆみこ氏のビジネスパートナーです。

参照: 正規品を称する海賊版アニメDVDのカラクリ 
正規品を装ったキャンディキャンディの台湾海賊版DVD
最高裁判決後の2008年08月、いがらしゆみこ氏の台湾におけるビジネスパートナー齊威國際多媒體股有限公司から発売された、(株)東映未許諾の『キャンディ・キャンディ』DVD ボックスセット)
02

原作者・水木杏子がアニメ『キャンディ・キャンディ』再放送に反対した事は一度もありません

原著作者・水木杏子(名木田恵子)は、東映アニメ『キャンディ・キャンディ』の再放送やソフト販売に反対したことはありません。それどころか裁判当時も判決後も「再放送はいつでもOK」と公言しています。

そもそもアニメ版キャンディ・キャンディを世に出せなくなったのは、原著作者と作画者の両名が(株)講談社との二次使用の契約を解除した為、(株)東映が作品を動かせなくなったからです。
03

キャンディ・キャンディの権利関係の基本

  1. 『キャンディ・キャンディ』という物語の原著作者、つまり設定・キャラクター・ストーリーなどに関する権利を持っているのが水木杏子(名木田恵子)。
  2. 水木杏子の原著作物(文字原稿)に基づいて、月刊『なかよし』(講談社)1975年4月号から1979年3月号まで連載された、二次的著作物(漫画版)に関する著作権を持っているのが、原著作者・水木杏子と作画者・いがらしゆみこ。
  3. 原著作者と作画者から、漫画版『キャンディ・キャンディ』の二次使用に関する管理委託をされていたのが、(株)講談社。(契約書として取り交わしたのは、昭和51年4月1日付のものが最初)
  4. 講談社との契約によって映像化権・放映権を取得し、漫画版『キャンディ・キャンディ』の二次的著作物(アニメ版)を製作、全115話(1976年10月1日-1979年2月2日)を放映していたのが(株)東映アニメーション。
  5. さらに、当時キャラクター商品の管理販売に関するノウハウのなかった講談社に代わり、多岐にわたる品目に関して"キャンディ・キャンディ"の商標権を申請し管理していたのも(株)東映アニメーション。(商標出願は昭和51年7月23日から)
04

『なかよし』掲載最終回とアニメの放映日

ちなみに『キャンディ・キャンディ』の最終話が掲載された『なかよし』1979年3月号は2月3日発売。アニメ版最終話放映は、同年2月2日。

アニメの製作スケジュールからして、明らかに、最終話の脚本はいがらし作画の漫画原稿に基づくものではありません。 最終四話くらいは、原作者の先行提出したプロットから直接脚本執筆されているものと思われます(『巨人の星』も同パターン)。

にもかかわらす作画者は「最終話は原作を無視して自分ひとりで描いた」と吹聴してまわっているのです。
05

キャンディ・キャンディ事件の発端

『キャンディ・キャンディ』の大ヒットにより若くして原稿料の高い大御所作家になったものの、その後のオリジナル作品では顕著な売り上げを出せずに90年代半ばからは講談社からも干されるようになった作画者・いがらしゆみこ。

同じ頃、いがらしゆみこの同郷の友人である本橋浩一が代表取締役社長をつとめていた日本アニメーション株式会社も、シリーズの視聴率低下により伝統ある名作劇場放映枠を失いつつありました。
そんな作画者・いがらしゆみこと日本アニメーションは、『キャンディ・キャンディ』を名作劇場枠で再アニメ化して、フジサンケイグループぐるみのキャラクタービジネスをもくろんだのです。


いがらしゆみこは「講談社はキャンディは要るけどいがらしは要らないのよ」と不遇を訴えて、原著作者・水木杏子に哀願。 迷った末に講談社との義理よりもいがらしとの友情をとった原著作者・水木杏子は、いがらしと共に講談社との契約を解除(1995年2月26日)。


講談社との契約によって放映権その他を持っていた東映としては、新たに水木・いがらし両氏と契約を結びなおさなければ『キャンディ・キャンディ』の放映・ソフト化はできません。
なので当然、東映の担当者は新たな契約に関する打ち合わせをするべく、両者にコンタクトを求めて何度も書面を送りました。原著作者・水木杏子も同様に、作画者・いがらしゆみこに何度も連絡をしました。

しかし作画者・いがらしゆみこは居留守をつかって話し合いを忌避。

その間に作画者・いがらしが何をしていたかといえば、原著作者・水木にも商標権保持者の(株)東映にも無断で管理を任せたフジサンケイアドワーク(現・クオラス)と共に『キャンディ・キャンディ』キャラクターグッズの許諾を多数の企業に行っていたのでした(1996年秋)。
キャンディキャンディの「バッタもの」版画
キャンディ・キャンディの高額エウリアン版画  高級オリジナル現代版画と称する『キャンディ・キャンディ』オフセット印刷の広告(1997年産経新聞朝刊) 原価300~500円のオフセット印刷を最高級現代版画と称して3万円~14万円で販売した。
06

バンプレストの災難

そのフジサンケイアドワークといがらしゆみこから許諾を受けた会社の一つが、(株)バンプレスト。

バンプレストの担当者・吉田明氏曰く
    (略)
「いつだったかフジサンケイアドワークの朝井匡人専務といがらしさん、マネージャーの山本昌子さんが尋ねて来て、朝井専務が<キャンディの権利はうちでもらった>といった。
商談に入ったが、うちの会社は著作権でビジネスをしている、著作権に関しては神経を使っている。 水木さんが原作者であり著作権者であることは20年前アニメ化の時グッズを作ったので重々承知していた。
それで何回もいがらしさんに「水木さんは承知しているんでしょうね」と尋ねた。
すると3人はキャンディコーポレーションという会社を香港につくった。それに<水木さんも関係している>といって、どさっと机にキャンディコーポレイション関係だという書面を置いたのです。」


吉田さんはそれを確かめるまでもなく信じた、といっていました。

「それで、キャンディコーポレイションとプリクラの仮契約をしたのです。
なにしろいがらしさん本人が水木さんは承知の上というんですから。水木さんに確認取るのも失礼な話しだと思って」

とのいい訳でしたが、お気持ちがわからないでもありませんでした。 (略)

        参照外部リンク:
        水木杏子公式サイト内「陳述書:フジサンケイアドワークについて思うこと」
吉田明氏は往年のキャンディブームの際、ポピーの関連会社の「吉田企画」でキャンディ人形を企画制作した経歴のある人。
水木杏子がポピーの「ポピーちゃん人形」のタイアップ漫画「うたえ!ポピーちゃん(作画:原ちえこ)」「あいLOVEポピーちゃん(作画:峡塚のん)」を『なかよし』誌上で連載していたこともあり、その縁がその後の『なかよし』とポピー、バンダイの長い蜜月のひとつのきっかけとなっている模様。

ちなみにその後、「バンプレストの担当者」は配置換えになったようです。

いがらしゆみこ公式サイトにあった文章によると、
水木さんの異常な抗議にバンプレストは承諾を得ることを断念しました。
水木さんは結果的に好意的に動いてくれた担当者を転勤にまで追い込んでしまい、私は「何もそこまでしなくても。」と言い知れぬ怒りさえ覚えました。 
…との事ですが、ダミー会社の実態の確認ミスで、バンプレの得意先である東映と権利トラブルの最中であるいがらしゆみこに加担してしまった事で、詰め腹を切らされたというのが実情でしょう。

    当サイト内の関連記事:
    『キャンディ・キャンディ』のプリクラ(プリント倶楽部/写真シール機)について
07

商標権問題

東映及び原著作者・水木杏子は、地裁判決後いがらし側が上告して更に争うことがなければ違法グッズを追認して事態を収拾するつもりでいました。

水木杏子公式サイト掲示板過去ログより
信用を失うということ ◆ 水木杏子 2002-04-16 (Tue) 23:32:43

    (略)
<東映>は作品については二次使用者の立場なので商標権を侵害されてもずっといがらしさんに対してはたいへん気を遣った対応だったと思います。(しかし、商標権無効審判を起こされて からは、はっきりと対応が違っています)

<東映>は企業です。個人ではありません。そこが水木と全く立場の違う所です。 いくら侵害されても結果、<企業>として利益が上がればよいことなのです。
東映の利益とは<再放送(グッズが伴います)><海外への放映権><VDO,DVD販売>でしょう。

繰り返し書いてきましたが、東映のお考えは<地裁判決後>いがらしさんが控訴をあきらめれば <ダン、サンブライト>が勝手に作ったグッズの一部を引き取り販売してもよい、という姿勢でした。

つまり<不正品>を追認することで<正規品>に生まれ変わらせ<本当の不正品>を制圧する、 というやり方です。
それができれば、ダン、サンブライト、タニイと契約してしまった業者も助かり、海外の不正品も摘発できると、わたしも賛成でした。

しかし、事は最高裁までもつれこんでしまいました。
その間業者(ダン、サンブライト)たちは、海外11カ国とも契約していたことが判明しました。
世界中こんなにも<グッズ、DVD>などが蔓延してしまったこと、疑われても仕方がないでしょう。 ここまでになってしまったならば、もう手の打ちようがありません。

東映は、アニメの再放送を断念しました。海外においてももう無理でしょう。

なぜなら、そういった<違法の摘発>をしたとしても企業たる東映にはなんの利益もないからです。(水木は個人なのでこの点もまた立場が違います)

海外の違法行為を摘発するには莫大な費用がかかります。 それだけ費用をかけても<再放送、販売>のあてがたたないとしたら、なんのための摘発か、と思われても当然でしょうね。 そういった<不正VDO,DVD>がなくならない限り、もう、アニメには望みがないのです。

日本においても、このように不正が蔓延したままだと、まっとうな企業は手を出しません。
なぜなら、正規にグッズを出しても「これは不正品かも」という消費者の厳しい視線があり、紛らわしさが残るからです。
そういったことがクリーン化(浄化)されるには時間と努力が必要です。

水木が漫画をはじめすべてを<白紙>に戻さなければならない、と考えたのも以上のような理由からです。 曖昧な形のままでいたら、近づいてくる業者は(失礼ながら)まっとうなところはないと思っています。

<キャンディ>という作品はこういった最悪の事態になってしまいました。

キャンディはわたしにとっても大切な作品でした。 それを白紙に戻すことがどんな気持ちなのかはもう、お話する気力もありません。
ここで曖昧な立場をとれば、そうしたちょっとしたほころびから、また、なにがはじまるか想像に難くないのです。

今後も、同じ姿勢は守るつもりです。

        参照外部リンク:
        信用を失うということ ◆ 水木杏子 2002-04-16 (Tue) 23:32:43
08

アジアに広がった作画者発の違法キャンディ・キャンディグッズ

原作者・水木杏子の願いもむなしく、作画者・いがらしゆみこは裁判中も敗訴後も「水木とは和解した」「上告したから判決は確定していない」と業者に更なる違法キャンディビジネスを煽りました。

尚、高裁に上告する際にいがらし側弁護団が利用したのが、現在マンガ学会監事をつとめている牛木理一 弁理士の論文「連載漫画の原作とキャラクターの絵との関係(『パテント』1999年7月号)」。


東映はこの後数年間、国内外(香港、マカオ、中華人民共和国、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、台湾、タイ、ハワイ)で販売された、自社の商標権を侵した多量の『キャンディ・キャンディ』グッズへの対応に悩まされることになります。
ラッキーコーポレーション(ラッキートレンディ)の違法『キャンディ・キャンディ』グッズ
株式会社ラッキーコーポレーション(現・株式会社ラッキートレンディ)の違法『キャンディ・キャンディ』グッズ
09

東映といがらしゆみこが完全に決裂した商標登録無効審判

更に作画者・いがらしゆみこは2001年7月10日に東映アニメーションに対して商標登録無効審判を起こしますが、これは却下されました。
1999年8月23日付けで、原著作者・水木杏子と東映との間で「『キャンディ・キャンディ』の名称を東映アニメーションが商標登録することに同意する」旨の同意書を締結していた為です。

水木杏子公式サイト掲示板過去ログより
アニメと商標権について ◆ 水木杏子 1999-10-18 (Mon) 23:24:09
 (略)
いまになって<漫画家>は放映を東映に要請しています。(昨年夏、たぶん違法グッズの宣伝になるから、と推測しています)

しかし、東映は<水木さんも許可しないと無理>と答えています。

水木は承諾していますし(いやだという理由はないので)東映も再放送などを希望しているなら、すぐにもできそうですが・・・
次の理由でどうにもなりません。

1 水木への侵害。<漫画家>が水木の著作権を認めない限り、漫画家ひとりの許可ではできません。
2 ・・・これが問題です。
 <漫画家>は東映の<商標権を侵害>しています。
    ・・・・・・・・・・

  (略)
東映は20年以上前のアニメ化の時それを申請して、以来、大切に保持(費用がかかります)してきました。それを漫画家は無視、勝手に業者と契約、グッズを世に出したのです。漫画家は無視したばかりか自分で<商標権>を申請しました。

東映は勿論、クレームをいえる立場ですが、二次使用者の弱みで強く抗議できません。漫画家がNO!といえば、再放送はできません。漫画家と水木がそろって承諾してはじめて可能なのですから。

しかし<商標権>を漫画家が保持していたら、東映はなんのビジネスもできずうるおうのは漫画家のみになります。(しかし、今の裁判で漫画家が敗訴すればひとりでビジネスはできません。)

(略)
この夏<漫画家>が申請したたくさんの商標のうち一部が通りそうになりました。
(東映は現在グッズをつくっていないため、著作権者である漫画家有利とおもわれたのでしょう。特許庁はこの事件を認識していないようです)

東映は驚き、意見書を出しました。それに水木は一審の判決を踏まえて、原作者としてアニメの再放送を望む立場にたち、東映が権利を持つ事が妥当として協力しました。
 (略)

また、現在 在庫をかかえて困惑する業者から許可してほしい、といわれても商標権を侵害している商品の許可などできないのです。
わたしが<違法グッズ>というのは<著作権><商標権>と二重の侵害の意味があるからです
 (略)
いがらしゆみこ公式サイト(旧)より
◆いがらしゆみこから水木さんへ Ⅱ 2000年12月27日
 (略)
そこで、私はこのような問題が起こるのであれば、現在登録できる商品については自分で「キャンディ・キャンディ」の名称を商標登録しておこうと考えて、平成9年10月頃に特許庁に商標登録を申請しました。

すると、特許庁から私が著作権者であるにもかかわらず、原作者として水木さんの名前がある以上、水木さんの許諾なくしていがらしゆみこ単独で商標登録をすることはできないという回答があり、商標登録を拒絶されました。

 (略)
そこで、平成12年7月10日、私は、東映アニメーションの「キャンディ・キャンディ」の商標登録は著作権者である私の許諾がないので無効であるとして、特許庁に対して商標無効審判請求をしました。

ところが、審理の中で、水木さんが東映アニメーションとの間で、「キャンディ・キャンディ」の名称を東映アニメーションが商標登録することに同意する旨の同意書を締結していたことが(締結日、平成11年8月23日)、明らかになりました。

著作物の題名は、著作権者の承諾がなければ商標登録することはできないというのが特許庁の取扱であり、その意味では著作物の題名を商標登録することは著作者の権利でもあるのです。

私にはどうして水木さんが自分は「キャンディ・キャンディ」の著作権者であると自負しておられるのに東映アニメーションにその題名を商標登録させておくことを安易に認めたのか理解できません。

裁判の結果、水木さんが「キャンディ・キャンディ」の著作権者であると認められれば水木さんが商標登録しておくべきではありませんか。その後、何らかの企画があればライセンスすればよいのではありませんか。
 (略)
10

日本マンガ学会監事・牛木理一 弁理士の論文

この商標登録無効申し立ての際、いがらし側が「東映が商標を抑えているのは不当」という主張の根拠に利用したのが、これまた現マンガ学会監事・牛木理一 弁理士の論文。

1976年当時は、出版社はキャラクターマーチャンダイジングを直接行うノウハウは持っていませんでした。
出版社が意識的にアニメ化とグッズの版権管理をやりはじめたのは、1981年の『ドクタースランプ』あたりからです。

ですから、当時としてはアニメ会社の(株)東映に商標権を取得させ、管理を任せた方が作家・出版社ともに効率の良いビジネスが出来る、現実的な対応であったと言えます。

当時も、その後の二十数年間も、東映は何ら背信行為を犯すことなく誠実に『キャンディ・キャンディ』のブランドイメージを高め、保持してきました。
また、ローティーン向け少女漫画雑誌『なかよし』の人気作品であった漫画『キャンディ・キャンディ』を幅広い年齢層にアピールするタイトルに育て上げ、更に海外でまで知名度を高めたのは東映の功績です。

「不当」といわれる筋合いはありません。
11

再放送の為のハードル

このように東映の商標権を侵して多数の違法グッズを世界中にばら撒き、東映に対し商標登録無効審判を起こす一方で、作画者・いがらしゆみこは東映に対し、「再放送をいつでも許諾する」との申し入れもしています。

そして、原著作者・水木杏子も「再放送はいつでもOK」と表明しています。

原著作者は権利関係にうといまま作画者の口車に乗って講談社との契約を解除してしまった為に、ビジネス上の混乱をまねいたことを非常に反省しています。

また「アニメ版は自分だけの作品ではなく、フィルムを作った多くの東映スタッフや声優たちのものでもある」「海外では漫画版を知らないアニメのみのファンが多い」という認識なので、「東映の権利を侵した違法グッズさえ始末がつけばアニメの許諾は可能であろう」と常々公言していました。
商標権と海外のアニメのこと ◆ 水木杏子 1999-08-18 (Wed) 15:04:10
    (略)
<アニメの物語>にはシナリオ作家の愛情がこもっています。
原作にない場面も多い・・(それについても当時わたしは不満でしたが今は別作として感謝しています)
海外のアニメしかみていないキャンディファンは<東映アニメ>の心が加わっているのです。

    (略)
確かに、東映は<著作者>ではありません。しかし、海外でも多くの人の心に残るアニメを作ってくれました。
東映は はやく事件が終わり、アニメの再放送を含め、海外でも放映できることをのぞんでいます。
海外のみんなの声を聞くにつけ、わたしもなんとかアニメを・・と願っています。 
アニメーションのリメイクについて 名木田恵子
(略)
確かに、24年前、製作された東映アニメーション「キャンディ・キャンディ」は技術も古く、連載漫画のあとを追いかける形で製作されたため、内容も<みずまし>され、原作者としても当時、気に入っていなかったことは本当です。
しかし、わたしも年を重ね、さまざまな人達が、さまざまな思いでアニメーションに携わり、「キャンディ」という作品を愛してくださっていたことを知りました。
東映のアニメは確かに古くさくはありますが、いい作品は古びない___とも思います。
感動は絵柄の新しさや古さではなく、製作者の心意気が伝わってくることでしょう。

この事件がおこり、昭和53年におきた<キャンディのにせTシャツ事件>の判決文を拝見しました。そこには<漫画作品という生みの親><東映アニメという育ての親>とありました。
ある意味では、そのご判断は正しいと思います。なにより、わたしが感じいったのは<東映アニメのキャンディ>に携わった方達がその言葉を<誇り>に思っていらしたことでした。
(略)

水木杏子公式サイト内 日本アニメリメーク裁判(陳述書)より
12

いがらしゆみこの「漫画原作者の権利否定」に追従した日本マンガ学会

しかし、作画者・いがらしゆみこは裁判が終わった後もさまざまな場で「水木杏子は原作者ではない」と公言しています。

良識派の漫画家や編集者はこのようないがらしゆみこの言動には眉をひそめていますが、長谷邦夫、牧野圭一のように「漫画原作者の権利否定」に追従する業界人も少数ながら存在しています。

この両名が参加している日本マンガ学会にいたっては、原著作者である水木杏子に出席のオファーすらせずに、作画者・いがらしゆみこのみに都合のいい主張をさせて最高裁判決を否定する事を目的としたフォーラムを開催。

    参照外部リンク:
    水木杏子公式サイト内「アニメの再放送について」
13

400字詰原稿用紙2,000枚の原作原稿=「走り書きの文字原稿」

いがらしゆみこの顧問弁護士と親しい日本マンガ学会監事・牛木理一 弁理士は、かねてより「アニメーション映画の製作者という二次的著作物の著作権者の立場にすぎない東映が商標権を専有しているのは問題あり」と主張していました。

それが更に「走り書きの文字原稿(=400字詰原稿用紙2,000枚分の小説形式の原作原稿を指す)」を書いただけの水木杏子を原著作者と「決め付けた」最高裁判決も不当と発言。

そして日本マンガ学会著作権部会は「いがらしゆみこが東映の商標権を侵して無断で制作したグッズ」に対して販売許可を出さずに差し止めた原著作者の行為は「正当な理由がない権利の濫用」であるから、グッズ業者は原著作者に対して裁判を起こすべき、という提言までする始末。

そして現在、国内で販売差し止めされた違法キャンディ・キャンディグッズが韓国で大量に販売されているという報告もあります。 
ダンエンタープライズの違法『キャンディ・キャンディ』グッズ
ダンエンタープライズの違法『キャンディ・キャンディ』グッズ
14

東映アニメーションの立場

作画者が原著作者の権利を否定している現状では、東映としても新たな契約書など作れるものではありません。

70年代に製作された全115話のフィルムをデジタルリマスターにかけるには、相当の費用がかかります。
やっとリマスターを終了しソフトの生産を行っている途中で、また新たなトラブルが起こって発売中止になった場合、東映の損失は莫大なものになります。
そんなバクチは営利企業として打てるはずもありません。

以下、水木杏子公式サイト過去ログ発言。
アニメの再放送の誤解のことなど ◆ 水木杏子 2002-05-13 (Mon) 16:43:45

 (略)
アニメの再放送についても誤解(作者同志が許可すればすぐにオンエアされると思われているようで)があるようなので、この機会に詳しく記しておきます。

この6年あまりの事件を振り返ったとき<アニメ>が大きな鍵だったのだと気付かされます。(アニメとグッズはいまやセットですから)

この事件前から<東映アニメ>はキャンディの再放送に積極的ではありませんでした。 リメイクは勿論、再放送の予定さえ聞いていません。
​東映がキャンディについて望んでいたのは海外での<放映権ビジネス>でした。

<キャンディ>に消極的な東映(また、講談社)を諦め、いがらしさんがリメイクに積極的な日本アニメに話を持っていった気持ちは理解できます。
だからこそ水木も東映とセットになっていた講談社との二次使用の契約を解除することに同意したのです。

その当時、商標権、著作権などについては<無知でした>という言葉ではすまない自分の愚かしさを今、悔んでいます。

しかし、東映も講談社も作品を冷遇していたわけではありません。
10年ほど前、東映も講談社もキャンディ・ルネッサンスを願って劇場用の映画にまた、<なかよし>は<るんるん>の付録にという企画をたててくれています。それが成功していたら・・・もしかして今回の事件は起こらなかったかもしれませんね。

アニメ会社も出版社も過去の作品はむろん大切にしますが、それ以上に新しいヒット作を目指していくのが当然でしょう。
東映も講談社も時間をかけ、時代の風が吹いてくるのを待っていたのだと思います。
いつか、この事件がなければキャンディにもその風は吹いてきたでしょう・・。

以上のように、この件のはるか以前からアニメの再放送の企画はありませんでした。

アニメは東映の作品です。 再放送に関してはわたしたちの同意は必要ですが、作者たちが東映を動かし再放送を行なう力まではありません。
しかし、この件で今後、再放送ができにくくなったことは事実でしょう。

(略)

        参照外部サイト:
        アニメの再放送の誤解のことなど ◆ 水木杏子 2002-05-13 (Mon) 16:43:45
No.146 >おたずねのことなど
投稿者名: 名木田
投稿日時: 2006年12月08日(金) 19時17分

(略)
”キャンディ”を懐かしんでくださる方に出会うと・・複雑な思いです・・
漫画本に関しては、ほとんど無理かもしれません・・。

でも、アニメに関しては・・<東映アニメ>の作品であり、東映アニメが今後どうしたいかが、問題なのです。
わたしの意向で動くことではありません。
<東映アニメ>の姿勢がきちんとしていて、そのお気持ちがあれば、東映側のさまざまなことを責任を持って解決なさり、動かれると思います。
わたしの関知することではないのです。

名木田恵子公認ファンサイト「妖精村」掲示板より
…という訳なので、原著作者・水木杏子と(株)東映アニメーションには、アニメ版『キャンディ・キャンディ』お蔵入りの責任はありませんので、その点ご理解ください。

文句を言いたいなら作画者・いがらしゆみことそのシンパの日本マンガ学会にね。
15

追記

作画者は2007年台湾で『キャンディ・キャンディ』のメインキャラに酷似した、『甜甜Lady Lady』と称する「オリジナル新作」のキャラクタービジネスを展開。
最高裁判決を愚弄するのみでなく、東映が保持している『レディレディ』の商標権を侵害する行為であり、東映アニメーションといがらしゆみこの関係修復は暗礁に乗り上げたと見てよいでしょう。
いがらしゆみこ自ら製作したキャンディキャンディもどき「甜甜Lady Lady」グッズ
いがらしゆみこの”オリジナル新作”『甜甜Lady Lady』のグッズ

『キャンディ・キャンディ』の著作権に関する講談社の見解

1/21/2019

 
01

キャンディ・キャンディ事件解決の為に最大限の尽力をした講談社

 『封印作品の謎 2 』 安藤健二 (著)
漫画作画者・いがらしゆみこが引き起こした『キャンディ・キャンディ』横領詐欺事件に関して、(株)講談社は既に『キャンディ・キャンディ』との法的関係はないにもかかわらず、事態の収拾の為に尽力しました。

(株)講談社は作画者・いがらしに対し、原著作者・水木杏子への謝罪と和解を行うように説得するとともに、地裁に陳述書を提出し、漫画制作現場における法的処理の実情と作品成立過程の事情について仔細な説明を行い、一流漫画出版社としての社会的責任を果たしました。

にもかかわらず、日本マンガ学会理事の長谷邦夫、牧野圭一らは、「講談社は裁判で証言しなかった。水木杏子を原著作者とする”理不尽な判決”が出たのは、講談社が裁判で証言を拒んだせい」などと、事実無根の悪質な虚偽を公私を問わぬ様々な場で吹聴しています。
02

梶原一騎の著作権を否定した いがらしゆみこ

まず地裁における いがらしゆみこ氏の主張を記します。
<証人尋問>でいがらし氏はこう証言しています。
「私が考える原作というのは、資料も全部与えられて、きちんと台詞もこの とおりに書いて下さい、あるいは、言ってしまえばコマ割りまで指定され ているものがきちんとした原作だと思います。」(記録書のまま) 

水木杏子公式サイト(旧)「漫画の原作という仕事について」より引用
つまり、原作者がキャラクターデザインにまで参加し、作画資料を提供し、ネーム形式で書かれた原作原稿でない限り、「漫画原作」としての法的権利は有しないという主張です。

漫画『キャンディ・キャンディ』の原作は400字詰原稿用紙2,000枚超に書かれた小説形式のものである為に、「原作」ではなく単なる「参考資料」に過ぎないというのです。

近年はネーム形式の原作者も増えましたが、日本の漫画史を築き上げてきた多くの漫画・劇画原作者、例えば梶原一騎、福本和也、小池一夫、雁屋哲、武論尊、牛次郎、工藤かずや、佐々木守… といった大御所作家たちの原稿は小説形式や脚本形式で書かれています。

万が一にも いがらし氏の主張が法廷で認められ、判例となっていたら、このような大御所作家たちの著作権は否定され、彼らが人生をかけて紡いできた物語は「単なる参考資料」に貶められ、創作者としての名誉も法的権利も奪われてしまうところでした。
そのような悪夢を防いだのが、講談社が裁判所に提出した仔細な陳述書だったのです。
03

講談社の『キャンディ・キャンディ』担当編集者(企画立ち上げから第3部完まで)だった清水満郎氏が98年3月、地裁に提出した陳述書の要約

1.『キャンディ』の誕生理由

    当時の少女漫画はいわゆる”学園もの”が中心だった。
    しかし、いがらしさんの新連載を始めるにあたり、『なかよし』編集部では、より骨格のしっかりした大型の連載を目指し、いわゆる”名作もの”の企画で行こうということになった。
    ”名作もの”とは、著名な外国文学のように、長きにわたり読み継がれた作品のようなものをイメージしていた。
    このような構想はかねてから東浦彰編集長が抱いていたものだが、編集会議でそういう方向を目指すことになった。
    そして、原作者として水木さんが編集部で人選された。 

2.『キャンディ』のコンセプト

    基本的なコンセプトと設定は、漫画家のいがらしさん、原作者の水木さん、担当編集者である清水の3人で話し合って決めていった。
    まず『ローズと7人のいとこ』という作品名が、いがらしさんから出て、『あしながおじさん』の話を清水が持ち出した。
    水木さんも幼い頃から『赤毛のアン』などの名作ものは大好きだったということで企画に大変興味を示したため、以後は3人で話し合っていった。 

3.『キャンディ』のストーリー展開

    いがらしさんが希望や意見を出し、原作にそれが反映されることもあったが、ストーリーを作ったのは誰かといえば、やはり原作者である。
    具体的なストーリーの展開は原作者の水木さんが作成し、その漫画化をいがらしさんが行なったと記憶している。 

安藤健二著 『封印作品の謎2』(太田出版)P30-31より引用
また、事件以前は いがらしゆみこ氏自身も「企画は編集部」「自分に話が持ち込まれた時には既に原作をつけることが決まっていた」と公言していました。

    参照:
    アニメック第23号(昭和57年4月)ザ・プロフェッショナル第四回
04

「原作付き漫画」の著作権

講談社版権事業推進部長・新藤征夫氏が98年10月、地裁に提出した陳述書の要約。
1.「原作付き漫画」の著作権

    原作は漫画のセリフやストーリーを構成する部分にすぎないもの、という考えはしない。「漫画の原作」は、漫画の著作物とは別個の独立した著作物であり、原作者は独立した原著作者だ。したがって、その原作をもとに執筆された漫画作品には、つねに原作者の原著作権が及んでいる。 

2.「原作付き漫画」の原作者の扱い

    このような「原作付き漫画」の二次利用(映画・テレビ・演劇など)の版権業務を行う際は、原作者と漫画家それぞれに事前許諾を得て、両者のクレジットも必ず表示するように義務づけている。商品化の際も同様である。連載以降に新しく描き下ろした登場人物の絵も、漫画の複製物であるため、原作者の権利が及ぶものと考えて、同じ扱いをしている。 

3.『キャンディ』の著作権管理について

    75年から契約解除となる95年までの20年間、講談社が著作権の管理をしていた。 その間、前述した「原作付き漫画」とまったく同じ版権処理をしていた。 

安藤健二著 『封印作品の謎2』(太田出版)P31-32より引用
新藤氏は地裁判決の翌朝の新聞にも同様のコメントを寄せております。
   漫画「キャンディ・キャンディ」の版権を以前管理していた出版元の講談社の新藤征夫・版権事業推進部長の話

    一九九五年に五十嵐さんと、名木田さんの側から「自分たちで版権を管理したい」との要望があり、二人に返した。
    原作者と漫画家だけで管理するのは珍しいケース。出版社が仲介する場合、契約で原作者と漫画家の権利は同等に定めるのが普通だ。
    漫画にとって設定、ストーリー、世界観も重要な要素で、原作あっての漫画だといえる。
    漫画家が絵だけの権利を主張しても通らないのが業界の常識になっている。

朝日新聞 1999年(平成11年)2月25日朝刊38面より引用
05

講談社顧問弁護士の見解

講談社社史編纂室部長・竹村好史氏 談
    ――――講談社が「原作が原著作物である」という判断をしたのはなぜですか?

    「はじめは私も漠然と、「共同著作物」かなと思っていましたが、社の顧問弁護士と相談したら『原作者は原著作者にあたる』ということになりまして、社内の方針としてそうなりました。
    『キャンディ』の場合、漫画化される以前には原作は世に出ていなかったわけですが、制作の順序としては原作を見ながら描かれるということで、そうした手順の問題だと思っています。
    ただ、原著作物であったにせよ共同著作物であったにせよ、双方の同意が得られなければ出版や商品化はできないわけであって、そこは大きな問題ではないと思います」

安藤健二著 『封印作品の謎2』(太田出版)P53より引用
(株)講談社の見解では初めから「水木杏子は”原著作者”」であり、連載時からその見解に沿った法的処理がなされていました。

にもかかわらず、日本マンガ学会では「最高裁判決で水木を原著作者と位置づけたのは、漫画界の実情を反映しない不条理な判決」とネガティブキャンペーンをはり、原著作者をカヤの外に置いて作画者一人を著作権フォーラムにまねき、最高裁判決を非難しました。

そればかりでは終わらず、 日本マンガ学会著作権部会は、2005年10月13日の第3回著作権部会の席上で
    「キャンディ・キャンディ」のマンガ部分は、二次的著作物という解釈ではなく、ストーリー部分との共同著作物であるとなぜ解釈できないのか。 

    マンガ家がストーリー作家の合意なしに、商品化の許諾を与えて製作したグッズの販売が不能となって損害を蒙った業者は、利害関係人であるから、これらのグッズの販売を許諾(合意)しない作家を訴えることが、現状打破の一つの突破口にならないか。
等と最高裁判決及び講談社法務部の法的見解を非難し、原著作者・水木氏と商標権保持者である(株)東映アニメーションの正当な権利を侵して違法グッズを制作販売した業者を「被害者」と位置づけ、新たな裁判を起こすための扇動まで行っています。
06

「いがらしの為の企画」ではなかった

講談社社史編纂室部長・竹村好史氏 談
    「『世界の名作のいいところを全部出せないか』というようなコンセプトだったと思います。そんな露骨な言い方はしなかったとは思いますが……。
    だから、みなし子、看護婦、いじめっ子と名作に出てくる要素はみんな出てきますよね。
    そのうえで、水木さんといがらしさんを組ませるということになったんでしょう。編集会議でそう決まったはずです」

安藤健二著 『封印作品の謎2』(太田出版)P61-62より引用
07

東京地裁の判断

東京地裁判決文
    しかし、本件においては、前記第二、一(前提となる事実関係)に証拠(甲一、一二、丙一の1ないし5、二の1ないし4、三ないし七、九、一〇)及び弁論の全趣旨を総合すれば、

    ① 昭和四九年秋、なかよし編集部は、当時なかよしに連載中の被告【D】の著作に係る漫画「ひとりぼっちの太陽」の連載終了後に、同被告による新たな連載漫画をなかよしに連載することを企画し、被告【D】の担当編集者であった【I】が同被告との間で新たな連載漫画の構想を話し合うなかで、新連載漫画については、なかよし昭和五〇年四月号から連載を開始し、ストーリーの作成を原告が担当し、作画を被告【D】が担当することが決まり、昭和四九年一一月までの間に、【I】は、被告【D】及び原告とそれぞれ個別に打合せを行って、新連載漫画につき、舞台を外国として、主人公である孤児の少女が逆境に負けずに明るく生きていく姿を描くなどの、漫画の舞台設定、主人公の性格や基本的筋立て等の基本的構想を決定したこと、

    ② 右に引き続いて、同年一一月、原告と被告【D】は、【I】を交えて初めての打合せを行い、なかよし昭和五〇年四月号に掲載する連載第一回分の筋立てのほか、なかよし同年三月号に同漫画の予告を掲載するために必要な、漫画の題名、主人公の名前、キャラクター等について各自の意見を交換したが、その際、被告【D】は、携帯していたB5判の無地のレポート用紙綴りに、主人公のラフスケッチ(キャンディ原画)を描いたこと、

    ③ 右打合せの結果を踏まえて、原告は、本件連載漫画の連載第一回分の原作原稿を執筆していたところ、これと並行して、被告【D】は、【I】からの依頼に基づき、なかよし三月号に掲載する本件連載漫画の予告用の主人公キャンディのカット画(キャンディ予告原画)を作成して、昭和五〇年一月八日ころまでに【I】に渡したこと、

    ④ その後、同年一月中旬に、被告【D】は、原告の作成した連載第一回分の原作原稿を、【I】から受領したこと、が認められる。


    東京地裁 平成11年(ワ)第20712号 著作権損害賠償請求事件
    当裁判所の判断1 争点1(本件連載漫画の登場人物の絵のみを利用する行為に対して、原告の本件連載漫画の原著作者としての権利が及ぶかどうか)について(二)より

日本ユニ著作権センター判例全文 より引用
08

講談社側の証言まとめ

講談社側の証言を総合すると、
  • まず、 東浦彰編集長が「カルピス劇場のような名作路線を少女漫画で実現したい」という構想を持ち、 編集会議で、いがらしゆみこ作画の連載枠を使ってその企画を推進すると決定。
  • 東浦編集長のコーディネイトで「物語・名木田恵子(水木杏子)」「作画・いがらしゆみこ」というユニットが組まれた。
  •  担当編集・原作者・作画者の座組みが仮決定した段階で、原作者と漫画家にそれぞれ打診。
  • 「名作路線の黄金パターンをすべて盛り込んだものとする」との編集部指定を受けて、 一番最初の打ち合わせの場で原作者・漫画家・担当編集者の3者でブレインストーミング。
  • それを踏まえて原作者が連載開始に向け具体的なストーリーに発展させ、エピソードとキャラクター(人格・設定の意)を作成した。

ということのようです。

日本マンガ学会理事が教育現場を含む様々な場で吹聴している、「少女マンガの女王いがらしサンに、新人だった水木さんは当初言われるままに書かされてきた」が真っ赤な嘘であることは明白です。
09

講談社が再びキャンディ・キャンディの著作権管理をする可能性

講談社社史編纂室部長・竹村好史氏 談
    ――――講談社が再び著作権を管理するという話はなかったのですか?

    「そうした声があったのは確かです。社内的にも前向きで希望を持っていました。
    ただ、いがらしさんが控訴してしまったことで、すべて潰れてしまったんです。
    高裁、最高裁と行ってしまったら収拾がつかない。いがらしさんが詐欺みたいなことをしたわけですから、非を認めて水木さんに謝罪をしないかぎりは、今後は前に進まないでしょう。

安藤健二著 『封印作品の謎2』(太田出版)P54より引用
いがらし側の意向は不明ですが、原著作者・水木杏子氏の方は作画者の口車に乗って講談社との契約を切ったことが一連の横領詐欺の始まりであり、
この事件後、すべてを元に戻し講談社、東映アニメに私の権利を任せることができたらと願っております。

水木杏子公式サイト内「業者について思うこと」より
と表明しています。

また、漫画本に関しては
水木は講談社以外、許可しないつもりですが、その版元、講談社でさえ問題がきれいに解決しない限り、出版することはないでしょう。

水木杏子公式サイト内「キャンディ事件の現状について」より
とも宣言しています。

現在、講談社と『キャンディ・キャンディ』という作品の間には、何の法的関係もありません。
講談社がふたたび『キャンディ・キャンディ』を出版・版権管理をするには、新たに水木・いがらし両氏と契約を結び直さねばなりません。
その際には当然、講談社法務部の以前からの法的見解であり、最高裁判決によっても再度確認された「水木杏子は原著作者」「漫画作品『キャンディ・キャンディ』は原作原稿の二次的著作物」に則った契約書が作成されるはずです。

しかし、作画者・いがらしゆみこは現在も「最高裁判決は不条理」「水木を原著作者とした最高裁判決は不当」「原作と称する文字を書いただけの人に絵に関する権利を与えるなど受け入れられない」と、公私にわたって主張しており、日本マンガ学会も作画者の主張に同調しています。

このような現状では、講談社としても復刊のためのアクションはとれません。東映アニメーションの立場も同様です。


また、現在にいたるまで、作画者・いがらしゆみこは、原著作者・水木杏子氏、商標権保持者・東映アニメーションに対し、何の謝罪も表明しておらず、今まで行ってきた不正ビジネスに関する情報公開も拒んでいます。
事件が未解決のままでは、作品の正常化は到底不可能です。
​

その様な現状に加え、日本マンガ学会が原著作者・講談社・東映を陥れるような情報操作を行っている上、違法グッズ業者を煽って新たな裁判を起こす「提言」までしているのです。

事件の沈静化とキャンディビジネスの早期正常化は、原作者・講談社・東映、そしてファンの切なる願いでした。
しかし、その願いは日本マンガ学会の介入によって踏みにじられました。
日本マンガ学会理事等によって流されたデマ(「講談社は裁判で証言しなかった」等)が正され、紛糾した事態が治まるまでには、長い時間が必要でしょう。
封印作品の謎 少年・少女マンガ編
著者: 安藤健二
(略)
今回(2005年秋)『封印作品の謎』の著者、安藤健二氏の取材を受けました。その際、再度深く考えました。そして、簡単に<封印>という言葉を使った自分を恥じています。

確かに今まではこれも<封印>の範疇かもしれないと甘んじていましたが、この言葉を使うと、あたかも原作者、水木の意志で封印されてしまった、と受け取られることを取材を受けて強く感じ、冷水を浴びされた思いがしました。
 
この事件は、水木サイドの初動ミスによって<詐欺事件>が<著作権侵害事件>にすりかえられてしまいました。あたかも<著作権問題>について論議されたような結果を招いてしまい自らの愚かさとはいえ残念でたまりません。

また、その問題を正当化せんといがらし氏の弁護士、取り巻きの漫画家や漫画評論家たちが画策しています。

この漫画作品はそういった人たち(この事件を検証しようともしない、また作品を本当に愛しているともいえない)によっていっそう暗闇に追いやられているのであって、<封印>とは全く意味が違うことを少しでも理解していただけたら、と願っています。
 (略)

水木杏子公式サイト内「キャンディ事件の現状について」より

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