『キャンディ・キャンディ』と『UFOロボグレンダイザー』DVDライセンス詐欺事件
この事件、ただの海賊版と違ってややこしいウラがある。
1978年、東映は丸紅とキャンディの二次使用に関する契約を結んだ。 当然、とっくの昔に期限切れした契約なのだが、その「契約」がめぐりめぐってDIGITAL Diffusion Video社のものとなったらしい。 正確にいうと、IDDH Distribution社の株主のBruno-Rene Huchezが元丸紅の社員で、自分で会社を起こす際に丸紅からチョッぱってきた契約書を大いに利用した……ということのようだ。 で、HuchezがIDDH をたたんでPoly Production 社を設立した際に各種の契約書をそのまま持ち込み、更にPoly Production 社がDIGITAL Diffusion Video社にその権利を許諾したという流れ。 DIGITAL Diffusion Video社が「善意の第三者」かどうかは知らないが、その契約書を振りかざして「海賊版じゃないもん」と正当性を主張したせいで、裁判がちょいとややこしくなった。 が、2006年5月12日に東映の訴えを認めた仮処分、9月にはベルサイユの控訴院がPoly Production 社とIDDH 社間の契約無効判決を下した。
その後に明らかになった情報によると、『キャンディ・キャンディ』と『グレンダイザー Goldorak』のフランス語版マスターテープを(物理的に)手に入れたのがBruno-Rene Huchezのもう一つの持ち株会社LSL Communication 。
ブツはあっても権利がないもんだから、権利書をデッチあげてうまい商売をしようとたくらんで暴走したっぽい? 上記一連の情報はフランスのGoldorakマニアのブログGoldorak-Gate (http://www.nonoche.com/goldogate/?cat=15)で仕入れた。フランス語の読解に間違いがあるかもしれないので、詳細は各自で原文を確認していただきたい。 (ここまで旧ブログ記事2006-12-12 23:17:00初稿) 台湾と韓国の「自称『キャンディ・キャンディ』正規版DVD」
『小甜甜』圓夢中文版的誕生…
重要なところだけかいつまんで訳すと、
最終的に、天は自ら助くる者を助くの例えの通り、制作チームはついにスペインから「Candy Candy」全115話のマスターおよび頒布権を入手しました。
更に、くだんのマスターテープは30年前のもので再ダビング用のオーディオトラックもなく、専門のポストプロダクション・スタジオにマスターの画像調整を依頼し、100万元以上の費用をつぎ込んで吹き替えとサントラを追加した、と苦労話を披露しているのだが……。
東映動画が講談社を介して取得していた『キャンディ・キャンディ』の放送権・ソフト化権は1995年に失効。未だ権利を保持していた時点で外国企業に許諾した放映権等も2001年までには全て失効しているはず。 「スペインの頒布権」は正規のものかもしれないが、どんな迂闊なライセンサーだってサブライセンスや譲渡の権利を海外のライセンシーに易々と与えたりはしないし、更新手続きナシで無期限継続のライセンス契約なんてある訳ない。 フランスのDIGITAL Diffusion Video社と同じような契約書転売詐欺かと思われるが、問題はPIM社がこの当時、台湾におけるいがらしゆみこの事業パートナーであり、このDVD発売がいがらし氏の知らぬうちに行われていたとは考えにくいということだ。 参考:台湾でいがらしゆみこ自ら『キャンディ・キャンディ』モドキ商売
台湾DVDの前年、韓国でも無許諾放映や正規版を称する海賊DVDの販売が大々的に行われているのだが、これも期限切れ契約書の転売で正当化しているのだろうか。
2007年の春から、韓国で許可なく<キャンディ・キャンディ>の不正アニメ放送が堂々と開始されてしまいました。
原著作者・水木杏子と東映アニメーションの関係は良好であり、水木は裁判当時も判決後も「アニメの再放送はいつでもOK」と公言している。
No.146 >おたずねのことなど
しかしながら、単純な海賊版ではなく、期限切れ契約書を悪用して正規版を装った版権詐欺がまかり通り、しかもそのDVDを出していたメーカーのうち一社が台湾におけるいがらし氏のビジネスパートナーとなると、到底うやむやにしたままのアニメ再放送などできるはずもない……というのは普通の判断力のある大人ならば理解できるはず。
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