平成12年5月25日 「キャンディキャンディCANDY(カバヤ食品)」著作権侵害賠償請求
日本ユニ著作権センター判例全文
東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却 原告:水木杏子 被告:いがらしゆみこ、有限会社アイプロダクション、株式会社フジサンケイアドワーク(代表取締役・山口尚毅)、カバヤ食品株式会社(代表取締役・野津喬) カバヤ食品は1998年から99年にかけ、漫画版作画者・いがらしゆみこのみの承諾を得て、『キャンディ・キャンディ』のキャラクター画を使用した袋入りのアメを製造販売した。 原著作者・水木杏子は漫画版作画者・いがらしゆみこと菓子類の製造販売会社「カバヤ食品」に、1,000万円の損害賠償を求めた。 東京地裁は被告側に約300万円の支払いを命じた。 三村量一裁判長は「漫画はストーリーと絵が一体となった著作物。絵だけを使う場合でも原作者は著作権を行使できる」と述べた。
本裁判の高裁判決を踏まえた審判。
いがらしゆみこ及びいがらしから委託を受けて原作者に無断で『キャンディ・キャンディ』のキャラクタービジネスを行っていたフジサンケイアドワークは、 「キャンディの絵画部分の著作権はいがらしゆみこの占有」 「一連のグッズはキャンディ原画ないしキャンディ予告原画(連載開始前の打ち合わせの席で描かれたラフスケッチと新連載告知用カット)の複製物ないし翻案物」 という法廷戦術をとったが、どちらの主張も退けられた。 打ち合わせの席で描かれたスケッチは主人公キャンディのものだけであり、この理屈はキャンディ単独イラストにしか適用できないはずだが、いがらし側は他のキャラクターデザインについても「原作に依拠しない」と主張していた。それに対し判決は また、本件連載漫画におけるキャンディ以外の登場人物の絵については、原告による原作原稿作成以前に被告五十嵐によりこれらの絵の原画が作成されていたことを認めるに足りる証拠はないから、被告五十嵐らの主張はその前提を欠くものであって、これ以上の検討を要するまでもなく、失当である。
と完全に退けられている。
本件連載漫画をめぐって原告と被告五十嵐との間に紛争が存在することを事前に被告カバヤに伝えていた旨の被告アドワークの主張は、自己の責任を被告カバヤに転嫁するための虚偽のものである。もしも、本件許諾契約の締結前に被告アドワークからそのような事実が伝えられていたのであれば、被告カバヤとしては、本件許諾契約の締結に応じていたはずがない。 被告五十嵐の代理人である弁護士が作成した、本件商品について原告からの抗議がされた場合の対処方法についての書面を、被告カバヤが受領したのは、本件許諾契約締結後の平成一〇年六月になってからのことである。
この「本件商品について原告からの抗議がされた場合の対処方法についての書面」というのは、水木杏子公式サイトで公開されている、第一東京弁護士会の山崎和義、熊隼人の署名が入った「漫画『キャンディ・キャンディ』の著作権及び今後の対応について」という平成10年4月2日付の報告書である。
参考:水木杏子公式サイト内「<黒い>報告書について」
報告書内では水木杏子が『キャンディ・キャンディ』を"水木氏と五十嵐との共同著作物であると主張しております。"と書かれているが、この報告書が作成された時点では「共同著作物の著作者または、本件連載漫画の原作を原著作物とする原著作者」として差し止め請求を行っており、裁判所に提出された講談社法務部の見解が「水木杏子は原著作者」であることはいがらし側も把握している。いがらし側弁護人による意図的なミスリードである。
原著作者水木杏子は上記リンク内で以下のように反論している。 (注1) 水木が<共同著作>といっていたのは<いがらしさんと二人で作った作品>という思いからです。事件のずっと以前に講談社の顧問弁護士が作成、ファイルしていらした<作品別の法的見解書>を見せて頂きましたが、そこにはもとより<キャンディ・キャンディにおいては”水木杏子は原著作者”>と明記されています。
講談社との管理契約を解除した後に水木-いがらし間で結ばれた作品の利用に関する契約書が存在するにもかかわらず、それを無視してビジネスを行っても良い根拠として、「水木がいがらし側の企画に対してことごとく反対しているために、当方は同意権の濫用を理由に契約を解除した」と説明。
(注2) <巧妙なすり替え>です。水木が<ことごとく反対>したのなら<プリクラも水木は反対>していたことになります。
更にその契約は「水木氏が執拗に商品化に抗議するために、同人にも一定の利益を与えるために契約を締結した」と中傷、「上記契約書では、漫画「キャンディ・キャンディ」が共同著作物であるとした文言はありません。」と水木杏子は作品利用に関して何の権利もないので許諾をとる必要はないと説いている。
(注3) マンガジャパン元顧問弁護士 富岡英次弁護士、その後輩、窪田英一郎弁護士立会人のこの<契約書>は巧みに仕組まれた<契約>であったと思っています。このことについての長年の疑念は、いずれ詳しく書くつもりです。
フジアドは「いがらし氏の弁護士(山崎和義、熊隼人)の法的説明に従っただけ」、カバヤは「フジアドの説明に従っただけ」だから責任はないという主張だったが、判決では
被告アドワーク及び被告カバヤは自己の過失を争うが、被告らは、本件連載漫画の登場人物の絵の使用について著作権法上の問題を生じないかどうかを、それぞれの事業の遂行に当たり、各自、自己の責任により判断すべきものであるところ、前記認定事実に加えて、なかよしにおける本件連載漫画の各連載分に「原作 水木杏子」という形で原告のペンネームが表示されていたこと(前記第二、一2)に照らせば、本件連載漫画の登場人物の絵の使用につき原告が何らかの権利を有することは容易に知り得べきものであったから、被告五十嵐ないし同被告の当時の代理人弁護士の説明を軽信して本件商品の製造販売に関与した被告アドワーク及び被告カバヤに、過失があったことは明らかである。
と完全に退けられた。
カバヤについて思うこと カバヤとフジサンケイアドの企業悪 ◆ 水木杏子 1999-12-11 (Sat) 15:05:49
カバヤ食品株式会社 訴訟代理人弁護士:"塚本 義政" "甲元 恒也"
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