平成12年12月26日 キャンディ・キャンディ商品化事件:損害賠償請求
日本ユニ著作権センター判例全文
東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却 原告:水木杏子 被告: 株式会社フジサンケイアドワーク(代表取締役・山口尚毅、専務・朝井匡人)、有限会社アイプロダクション、いがらしゆみこ 参考:株式会社フジサンケイアドワーク(現・株式会社クオラス)
本裁判の判決により『キャンディ・キャンディ』の"リトグラフ"と称するオフセット印刷複製画(及びテレホンカード、ポストカード、色紙等のキャラクター商品)の無断販売に対して差し止め請求がなされたにもかかわらず、いがらしとフジアドは判決を無視して違法ビジネスを続行。原著作者・水木は新たに損害賠償請求裁判が起こし、訴えが認められた。
4 被告アイプロは、被告【D】からの委任を受けて、本件連載漫画について被告【D】の有する著作権を管理し、その商品化事業を遂行するものである。被告アドワークは、被告アイプロを介して被告【D】との間で本件連載漫画の登場人物についての商品化契約を締結して、本件連載漫画の登場人物を描いた複製原画(リトグラフ。以下「本件複製原画」という。)及び本件連載漫画の登場人物の絵の付されたテレホンカード、ポストカード、色紙等のキャラクター商品(以下、「本件関連商品」といい、本件複製原画と併せて「本件商品」と総称する。)を製作し、これを次のとおり、販売した。当時被告アドワークの専務取締役の職にあった被告【C】は、本件連載漫画の商品化事業の担当者として、右商品化契約の締結及び本件商品の製造・販売について中心的に関与した。 (一)平成九年八月ころ、産経新聞紙上に「HI!キャンディ!キャンディ・キャンディがあなたのお部屋を明るく飾ります。★限定各100点」との文章を含む本件絵画の広告を掲載し(甲二)、以後、同一〇年二月ころまでの間、本件複製原画の通信販売を行った。 (二)次の展示販売会において、本件複製原画及び本件関連商品を販売した。
平成12年10月17日 キャンディキャンディ絵画販売事件(静アート事件):販売差止請求
ユニ著作権センター判例全文
東京地裁/判決・請求認容 原告:水木杏子 被告:静アート株式会社(代表取締役・武石淳) 平成一一年一〇月頃から「こんにちは『キャンディ・キャンディ』展」を開催し、同展示・販売会において、本件絵画を展示・販売した静アート株式会社に対し、原著作者が販売差止を求めた。 被告は、平成一二年一月一四日から同月一七日、アクトシティ浜松において、「こんにちは『キャンディ・キャンディ』C展」を開催し、また、同年二月には、広島県立広島産業会館において、「こんにちは『キャンディ・キャンディ』C展」を開催し、各展示・販売会において、本件絵画を展示・販売した。
連載終了後に新たに描き起こされた原画であっても、特定作品の登場人物であると認められるものは原著作物の複製・翻案として、原著作者の権利が及ぶとの判決が下された。
証拠(甲第五ないし第九号証)及び弁論の全趣旨によれば、キャンディを初めとする別紙登場人物目録記載の各人物は、いずれも本件漫画作品において描かれている登場人物であって、本件絵画はこれらの登場人物を描いた絵画であることが認められる。これによれば、本件絵画は、本件漫画作品における主人公キャンディを初めとする登場人物の絵を複製又は翻案したものというべきである。 アクトシティ浜松「こんにちは『キャンディ・キャンディ』展」<価格> <セールストーク-3オーダーメイドの勧め~ヌード問題> トークより 広島県立広島産業会館「こんにちは『キャンディ・キャンディ』展」
場所:広島県立広島産業会館西展示館
日時:2000年2月26日~28日 販売:静アート 以下、検証サイトのレポートを転載(文責は各執筆者)。 広島県知事・藤田雄山氏より、 今回驚いたのは、前回の浜松レポートでは38万円~、だった原画のお値段が、一番安いものでも、46万円!額縁が随分大きいんですが、画自体は15cm四方くらいの小さなもの(なかには10cm×20cmくらいの縦長状のものもあった)が、46万円です。 「描き下ろしをお願いした場合、希望した絵柄と必ず同じものが仕上がるのですか?イメージがちがったりしませんか?」と繰り返し尋ねたところ、
2000年2月に開催された広島の展示即売会で原画購入した顧客に対し、静アートは販売差し止め判決が出た後も個別にセールスを行って、描きおろし原画やフジサンケイアドワークの「版画と称する高額ポスター」の在庫を販売していた。
参考:偽版画&違法原画販売~20年目でも新ネタ (略)
平成12年5月25日 「キャンディキャンディCANDY(カバヤ食品)」著作権侵害賠償請求
日本ユニ著作権センター判例全文
東京地裁/判決・請求一部認容、一部棄却 原告:水木杏子 被告:いがらしゆみこ、有限会社アイプロダクション、株式会社フジサンケイアドワーク(代表取締役・山口尚毅)、カバヤ食品株式会社(代表取締役・野津喬) カバヤ食品は1998年から99年にかけ、漫画版作画者・いがらしゆみこのみの承諾を得て、『キャンディ・キャンディ』のキャラクター画を使用した袋入りのアメを製造販売した。 原著作者・水木杏子は漫画版作画者・いがらしゆみこと菓子類の製造販売会社「カバヤ食品」に、1,000万円の損害賠償を求めた。 東京地裁は被告側に約300万円の支払いを命じた。 三村量一裁判長は「漫画はストーリーと絵が一体となった著作物。絵だけを使う場合でも原作者は著作権を行使できる」と述べた。 東京高判平成12年3月30日 (判時1726号162頁) 「キャンディキャンディ」事件(フジサンケイアドワーク偽版画出版差止等請求):控訴審
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東京高裁/判決・控訴棄却 原告:水木杏子 被告:いがらしゆみこ 山下和明裁判長は「漫画は絵とストーリーの展開が不可分で一体。絵だけ取り上げて漫画家の専権に属するとはいえない」と指摘。
地裁判決直後、「著作権問題に詳しい自分達に任せれば控訴審で逆転できる」と売り込みをかけてきた弁護士集団の勧めに従ったいがらしゆみこは控訴。
いがらし弁護団は「キャンディのキャラクターデザインは連載第一回の原作原稿を受け取る前に作成したものであり、原作者の権利の及ばない漫画家の占有」及び「水木の原作原稿にもとづかないイラストレーション(扉絵や連載終了後の描きおろし等)の利用は漫画家の専権に属する」という主張に方向転換。 これに対し高裁は、 キャラクターデザインの成立時期がどの時点であれ、本編終了後の描きおろしであれ、"本件連載漫画の主人公であるキャンディを描いたものである限り、本件連載漫画の複製(あるいは翻案)としての性質を失うことはあり得ない" として控訴棄却。
漫画家による絵の独自性を漫画家占有の権利とするいがらし側の主張に対し、高裁は、二次的著作物には原著作物の創作性に依拠しそれを引き継ぐ要素と、二次的著作物の著作者の独自の創作性のみが発揮されている要素が含まれるものであるが、
両者を区別することが現実には困難又は不可能なことが多く、この区別を要求することになれば権利関係が著しく不安定にならざるを得ない 二次的著作物である以上、厳格にいえば、それを形成する要素(部分)で原著作物の創作性に依拠しないものはあり得ないとみることも可能である
を理由に、両方の要素はいずれも原著作物の創作性に依拠しているものとみなすのが合理的と判断。
尚、地裁の審議中に水木杏子は公式サイト内のエッセイ「キャンディとであったころ」で『キャンディ・キャンディ』の連載開始前の初回打ち合わせに言及しているのだが、いがらし側はそのエッセイを証拠として提出した。
参考外部リンク:Misaki's Candy Candy 内「キャンディとであったころ エピソード1・アンとキャンディ」 <証拠>として出されたもの ◆ 水木杏子 1999-05-29 (Sat) 15:11:34
水木のエッセイを証拠品として、いがらし側は「キャンディのキャラクター原画は漫画家が物語原稿に依拠することなく独自に創作した」と主張。
それに対し高裁は 控訴人主張のいきさつが認められ、かつ、本件表紙絵及び本件原画の中に、控訴人主張のラフスケッチあるいは新連載予告用の絵を複製(あるいは翻案)したものとする要素があるとしても、それらは、本件連載漫画の主人公であるキャンディを描いたものである限り、本件連載漫画の複製(あるいは翻案)としての性質を失うことはあり得ないものというべきである
…として控訴棄却した。
コメント 水木杏子(名木田恵子) 4月の小窓
いがらし側訴訟代理人弁護士:"花岡 巖" "唐澤 貴夫" "本橋 光一郎" "小川 昌宏" "下田 俊夫"
平成12年3月17日 キャンディキャンディ絵画販売事件(静アート):仮処分
東京地裁/決定・仮処分認容
原告:水木杏子 被告:静アート株式会社(代表取締役・武石淳) 『キャンディ・キャンディ』の絵を無断で売るのは著作権侵害として、原著作者・水木杏子が美術品販売会社「静アート」(東京都目黒区)に販売禁止を申し立てた仮処分が認められた。 静アートはいがらしゆみこが新たに描き下ろした絵を、原画として展示販売していた。 しかし静アートはこの仮処分決定を無視して翌日18日から大分で展示即売イベントを開催、水木側は販売差止を求めた訴えを起こす(平成12年10月17日 著作権販売差止請求事件)。 日本アニメと静アートの裁判について ◆ 水木杏子 2001-11-15 (Thu) 16:58:23
実際には、この裁判で差し止め判決が出た後も、静アートは一連の展示販売イベントで作成した顧客リストをもとに個別販売によって描きおろし原画とフジサンケイアドワークの偽版画の販売を続行した。
参考:偽版画&違法原画販売~20年目でも新ネタ 原画について考えている事 ◆ 水木杏子 1999-09-23 (Thu) 22:26:21
平成11年4月8日 「キャンディ・キャンディ」事件(いがらしゆみこ美術館):販売差し止め請求
東京地裁/仮処分申請
原告:水木杏子 被告:アートワークスペース、ファンクラブるりたては、(株)向日葵 原著作者・水木杏子が、本裁判の地裁判決後も『キャンディ・キャンディ』の絵を無断使用した商品を販売している業者らに、販売差し止めなどを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。 差し止めを求められたのは、岡山県倉敷市中央で「いがらしゆみこ美術館(旧館)」を運営する(株)向日葵と、地裁判決直後から いがらしゆみこ公式サイト(CANDY CANDY NET)上で通信販売を行っていたサイト管理人・荻久保萬嗣郎(デザイン事務所アートワークスペース )、同じく通販を行っていたいがらしゆみこ公式ファンクラブ「るりたては」。
地裁判決及び差し止め請求の仮処分が出た後も、(株)向日葵は東映と原作者の権利を侵害したキャラクタービジネスを続行した。
北海道新聞事件 荻久保萬志郎さんとの午後 ◆ 水木杏子 2000-02-06 (Sun) 01:49:23
平成11年2月25日の地裁判決直後、3月3日にはいがらしゆみこオフィシャルサイトCANDY CANDY NET上で文房具類の通信販売が開始、翌4日に水木の代理人弁護士から管理会社に警告のメールが送付されたがサイト管理人は警告を無視、9日には財布と鞄類も通販ラインナップに追加。11日以降、更に夥しい種類の無許諾グッズが大々的にオンラインショップに追加されていった。(3月27日からはいがらしゆみこ公式ファンクラブ会報「るりたては」上でグッズ通販開始)
ファンからの抗議メールに対し、サイト管理人は 確かに無断で販売とお感じになるかもしれませんが、キャンディキャンディの商標権はいがらしゆみこが所有し、キャンディキャンディの絵の著作権はいがらしゆみこが所有しております。従って、商品化自体には然したる問題はありませんでした。
と虚偽を記載したメールを返信。
正しくは、
更に同管理人は、いがらしゆみこから言われるままに まず、五十嵐先生は結構日本全国あちこちで頻繁にサイン会や展示会を行ってファンの意見を聞いて回っています。また、ファンレターにもとことん目をとおして、その意見を取り入れようとして、アニメのリメイク、再放送やプリクラ、グッズなどを作ろうと水木先生に話を持って許可を取りに行きました。ところが、全ての許可は貰うことができず、さらにキャンディの絵自体の著作権は自分にあるとしてロイヤリティの100%なら商品化許可を出すという条件を出しました。これはさすがに聞くわけにはいかず、かといっていろいろな商品化の話はあちこちのサイン会でファンに話してしまっていて引っ込みがつかなくなり強引に商品化に踏み切ったのです。
という名誉棄損相当の虚偽までも流布した。
その後、メールを受け取ったファン数名の告発により事態が明るみに出ることとなり、サイト管理人は流布した誹謗メールの一部を公開、自社サイト内の掲示板において下記のような謝罪を表明するに至った。 上記の「日本全国あちこち~」ということと、ロイヤリティ100%ということについては、全くの嘘です。嘘の内容を書いたことについて深くお詫びいたします。また、知っている範囲とは言え、また聞きした内容をこういった軽率な形で回答してしまったことに、お詫びいたします。 東京地判平成11年2月25日 (判時1673号66頁) 「キャンディキャンディ」事件(フジサンケイアドワーク偽版画出版差止等請求) :第一審
日本ユニ著作権センター判例全文
東京地裁/判決・請求認容(控訴) 原告:水木杏子 被告:株式会社フジサンケイアドワーク(代表取締役・小川武夫)、いがらしゆみこ 『キャンディ・キャンディ』の複製原画(原価300~500円の印刷物を最高級現代版画と称して3万円~14万円で販売)を原作者に無断で製作・販売した件に関して、原作者の水木杏子が漫画版作画者のいがらしゆみこに(版画と称する印刷物の)出版などの差し止めを求めた訴訟。 東京地裁は水木にも著作権があることを認め、いがらしに(版画と称する印刷物の)出版などの差し止めを命じる判決を言い渡した。 裁判長は「漫画は、原告が作成した原作の原稿を基に、いがらしさんが作成した。従って、水木さんの許諾なしにキャラクターを使用することはできない」と指摘した。 両者は95年11月、「キャラクター使用には同意が必要」との契約を結んだが、いがらし側が契約を守らず、単独で業者とキャラクターグッズの販売契約を結んでいた。
もともとはいがらし側が原作者に無断で製造した「高級版画と称する粗悪な印刷物」に対して契約違反・著作権侵害として提起した出版差止等請求裁判だった。
だがいがらし側弁護士が「『キャンディ・キャンディ』はいがらしゆみこの単独著作物であり水木杏子は著作権を有していない(よって差し止め請求する権利はない)」という法廷戦術を採用し、以後は水木杏子の原作権の確認が争点となった。 一審の弁護士は、キャンディの作品の権利は全ていがらしにあるという方針で裁判にのぞみました。この方針は水木氏の権利を全て否定するもので、私の本意ではありませんでした。しかし、「絵の権利を80得たいならば、100の要求をするのが裁判のテクニックだ」と説明され、裁判のことなどよくわからない私はやむなくその方針に従うしかありませんでした。
これに対し水木は"共同著作物の著作者の権利、又は、右漫画を二次的著作物とし本件連載漫画の原作を原著作物とする原著作者の権利を有する"ことの法的確認を求めた。
双方が提出した証拠物(連載当時の原作原稿、連載当時の担当編集者の陳述書、講談社法務部の法的見解を示した陳述書、講談社が版権管理をしていた当時の契約書を含む)を検討した結果、 "本件連載漫画につき、これを二次的著作物としその原作を原著作物とする原著作者の権利を有し、したがって、本件連載漫画の利用に関し、その著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する" "二次的著作物の著作権者であっても、原著作物の著作権者の許諾なく二次的著作物を利用することは許されない" という判断により、水木による差し止め請求が認められた。
双方が提出した作品成立経緯の陳述書(主に原作者、漫画家、漫画家アシスタント、担当編集者、出版社法務部それぞれの陳述)
及び 水木が提出した小説形式の原作原稿(甲第四〇号証~第四三号証) いがらしが提出した漫画原稿(乙第一〇号証~第二一号証) 上記証拠品を検討の結果、地裁は 本件連載漫画は、当初から原告が作成した原作原稿を被告五十嵐が漫画化するものとして「なかよし」編集部によって企画され、実際にも連載の各回ごとに原告が小説の形式で原作原稿を作成し、これを被告五十嵐が漫画化するという手順で制作が行われたものであり、 本件連載漫画とこれに対応する右原作原稿の各内容を対比してみても、前記のとおり、本件連載漫画はおおむね原作原稿の記載内容に沿って具体的なストーリーが展開され、登場人物の吹き出しの台詞や思考・心情の記述もその多くが原作原稿中の記載に基づくものと認められる。 また、出版物における著者の表示や二次的利用の際の権利関係の処理においても、原告は、終始、本件連載漫画につき原作者としての権利を有するものとして処遇され、被告五十嵐もこれを容認してきたものである。
本件連載漫画は、原告の創作に係る原作原稿という著作物を翻案することによって創作された二次的著作物に当たると認められる。
つまり、水木杏子は原著作者であり、漫画『キャンディ・キャンディ』は水木の小説形式の原作原稿にもとづいた二次的著作物であると結論した。 尚、漫画家側が主張したデザインの独自性については、 また、被告らは、右主張の中で、人物の容姿・表情・服装、背景について原作原稿中に具体的な指示がなく、専ら被告五十嵐がこれらを創作したことを指摘するが、右のような点は、言語の著作物を漫画の形式に翻案するに当たって、本来漫画家が創作性を発揮すべき作画表現の問題というべきであるから、このような点について原作原稿中に具体的な指示がないとしても、それによって、本件連載漫画が原告作成に係る原作原稿の翻案であることを否定する理由にはならない。
……との判断を下している。
また原作者による指示のない連載当時の表紙絵についても
本件表紙絵は、本件連載漫画のどの場面の絵に対応するものであるかを特定するまでもなく、本件連載漫画のキャンディの絵の複製に当たるというべきである。
連載終了後の描き下ろし絵についても
被告らの右主張の趣旨は、要するに、本件連載漫画における絵の部分は専ら被告五十嵐が創作したのであるから、本件連載漫画を絵という表現形式においてのみ利用することは、被告五十嵐の専権に属するというにある。
つまり、絵のみを切り離して漫画家の占有とすることはできない(絵にも原作者の権利が及ぶ)と結論した。
漫画の原作という仕事について
判決後、一ヶ月の所感 水木杏子
補足:上記の水木所感中の<倉敷の美術館>は、岡山県倉敷市中央1丁目にあった(株)向日葵 運営の旧館を指す。
いがらし側訴訟代理人弁護士:"山崎和義" "熊隼人" "鈴木謙"
平成10年2月5日佐川急便事件
東京地裁
原告:いがらしゆみこ 被告:佐川急便株式会社 いがらしゆみこが佐川急便に対し、輸送中に破損された原画に対する1,000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。 1997年3月香港にて、いがらしゆみこは原著作者に無断で『キャンディ・キャンディ』『ジョージィ!』原画展示会を開催。主催は、いがらしの元アシスタント・村中志津江(PN鈴賀れに)が編集者をつとめていた玉皇朝出版。この香港のイベントにおいて多くのキャンディグッズも無断販売された。 この原画展で展示した原画(石膏ボード)を、美術梱包(保険あり)もせずに佐川急便に輸送を依頼したいがらしゆみこは、輸送中に絵が破損していたとして1,000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。 佐川側が財団法人新日本鑑定協会に依頼して算定した賠償金は50万円。 対して、いがらしが鑑定依頼をした筑波大学の谷川彰英教授(専攻・学校教育)の鑑定額は5,000万円。 週刊文春1998年5/21号の谷川彰英教授コメントによると、この鑑定額の根拠については 「破られた原画は見ていない。白黒のコピーを見て鑑定した」
とのこと。
いがらしが原著作者たちに無断で全国各地で開催した原画展示即売会では、この文春記事のコピーの5,000万円の部分にマーカーで線が引かれたものを掲示し、キャンディの描き下ろし原画に100万の値をつけて販売していた。 同記事内でマンガジャパンの同僚であるちばてつやが"断じてお金の問題じゃないんです"と谷川彰英教授の鑑定を支持するコメントを寄せていたが、実際は「お金の問題」であったようだ。
同記事によると、いがらし側が最終的に請求した損害賠償額一千万円の根拠は
この前の展示会で展示した、破られたものとほぼ同サイズの原画に関して、紛失した場合は七百~七百二十万円を保証するという契約を企画会社としていた。それを参考にし、商品化権を加えて算定した。
この発言内の「展示会」は1998年2月26日から開催され、原著作者・水木杏子と東映の許諾を得ずにキャラクターグッズを多数販売した伊勢丹府中店のイベント、企画会社はフジサンケイアドワーク(産経新聞社後援)。
弁護士・熊隼人の発言から推測すると、原著作者に無断で契約した商品化権は一絵柄につき(?)約三百万円か。 佐川急便事件で発覚した香港違法イベント佐川急便事件のこと ◆ 水木杏子 1999-10-22 (Fri) 16:06:47 原画について考えている事 ◆ 水木杏子 1999-09-23 (Thu) 22:26:21
昭和54年8月14日第15刑事部判決(判例タイムズ396号64頁)「キャンディ・キャンディ」にせTシャツ事件
大阪地裁/被告に懲役2年の刑事判決(執行猶予3年)
原告:東映動画株式会社 被告:サクラ産業株式会社代表ほか 被告人の衣料品販売業者が、サクラ産業株式会社(大阪府貝塚市半田二三二番地の一)他一ヶ所において、子供用シャツ 237,331枚にアニメ「キャンディ・キャンディ」のキャラクターをプリントし、森信莫大小株式会社など衣料品販売業者17ヶ所に、うち222,347枚を販売。 東映動画株式会社は、アニメキャラクターの著作権法違反の刑事事件として公判請求した。 被告側弁護人が 「アニメ『キャンディ・キャンディ』は原作漫画の複製物に過ぎず、独自の創作性を持たない。したがって、東映動画は同アニメに対し著作権を有していない。仮に同アニメが第二次著作物として著作権の対象となるとしても、同アニメ静止画の一コマを複製しても、原作漫画に対する著作権を侵害するだけで、アニメ作品への侵害は成立しない」 との主張をした為、東映は(株)講談社、原作者及び漫画版作画者に対し、東映の『キャンディ・キャンディ』に関する権利関係を説明する文書の提出を要請。 また、タニイ株式会社も、ライセンスを受けたキャラクターグッズ業者の立場として、東映に協力した。 上記弁護側主張に対する裁判所の判断。 (略) わたしも、そして、東映にとってなによりショックだったことは、この53年の事件で東映の版権部の人と共に犯人追い込みに大活躍したのが、今回グッズを製作した会社<(株)タニイ>(水着、レインコートなど)の谷井氏なのです。谷井氏は53年は<犯人を追う>正義の立場でした。 |
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